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経営タイムス No.2701 (2003年11月27日)

環境税導入に反対表明

−日本経団連、小池環境相と懇談


日本経団連は18日、都内のホテルで小池百合子環境大臣との懇談会を開催した。環境省からは小池大臣のほか、加藤修一副大臣、砂田圭佑政務官らが、日本経団連からは奥田碩会長、森下洋一・評議員会議長兼税制委員長、千速晃副会長、出井伸之副会長、関係委員会の委員長・部会長らが参加。地球温暖化問題や廃棄物・リサイクル問題への日本経団連の見解や取り組みを説明し、特に環境税と森林環境・水源税に対して改めて反対を表明した。これに対して小池環境相は環境税を導入するならば税制全体の見直しが必要との考えを示した。

懇談の冒頭、奥田会長は「環境税について環境省とは意見の違うところがあるので忌憚ない意見交換をしたい」とあいさつ。続いて、小池環境相は環境省の重点課題として、(1)温暖化問題(2)廃棄物とリサイクル問題(3)自然環境の保全問題――の3点を挙げ、この懇談会を「環境と経済の統合した社会への実現の第一歩としたい」と語った。

次に、山本一元・環境安全委員会共同委員長が日本経団連の環境税に関する意見書の内容を説明。このなかで山本共同委員長は、(1)環境税は景気回復に水を差す(2)国内空洞化を促進する(3)エネルギー課税はすでに過重である(4)自主的取り組みの尊重と実効ある民生対策が必要である(5)新たな枠組みが不可欠である――ことから、環境省が検討を始めている環境税と、一部自治体が創設を求めている森林環境・水源税に対して、改めて反対の意見表明を行った。
また、秋草直之・環境安全委員会共同委員長は、「産業界は自主的に廃棄物削減に取り組んでいる一方で、不法投棄が増えている」と指摘し、政府に対応を求めた。

これに対して小池環境相は、来年の地球温暖化対策推進大綱の見直しで追加的対策が必要になった場合に、税も含めた対策を検討すると述べた上で、税については国民の広い理解が必要との考えを示した。
廃棄物の不法投棄については、現場回復基金への産業界の出捐に対して謝辞を述べた上で、「急増している硫酸ピッチの不法投棄については関係省庁と連絡をとりながら取り組みたい」と述べた。

■自由懇談

自由懇談では、秋元勇巳・資源・エネルギー対策委員長が(1)中央環境審議会に産業界の委員が少ない(2)エネルギー税は過重であり環境税の導入は問題(3)原子力発電について政府はどう考えているのか――の3点について発言。
これに対して小池環境相は、(1)産業界の声を聞けるようにしなければいけない(2)環境税の導入には既存の税との重複を避けるべきであり税制全体の見直しが必要(3)原子力発電は環境面では優等生だがバックエンド対策(放射性廃棄物の処理処分対策と原子力施設の廃止措置対策)に多額の経費がかかることから総合的に考えなくてはならない――と答えた。

また、桝本晃章・環境安全委員会地球環境部会長は、「環境と経済を統合するのは税や規制ではなく技術」と述べた上で、「技術は企業がもっているのでそれを奨励するような仕組みを考えてほしい」と要望した。
小池環境相は、「規制が技術の開発を阻害するものであってはいけない。規制のあり方を調整していきたい」と語った。


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