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経営タイムス No.2706 (2004年1月22日)

日本経団連が関西会員懇談会開催

−関西の景気や国際観光振興、都市再生などで意見を交換

−強靭な経済の構築へ/奥田会長「前進と改善」を強調


日本経団連(奥田碩会長)は16日、大阪市内のホテルで関西会員懇談会を開催した。「企業の活力で新たな発展の時代を目指す」を基本テーマとした今回の懇談会には、日本経団連の奥田会長や千速晃副会長、西室泰三副会長、宮原賢次副会長、西岡喬副会長、高原慶一朗評議員会副議長はじめ、関西地区会員ら約240名が参加。関西の景気や国際観光の振興、都市再生、知的財産権などについて、意見を交換した。

冒頭あいさつで奥田会長は、今年の大きな課題として、「外的なリスク要因に左右されにくい強靭な経済を作り上げること」を挙げ、その鍵は企業の活力にあると指摘。企業が活力を発揮するためには、少子・高齢化とグローバル化への対応という大きな課題の克服が必要であると述べた。
さらに、今年のキーワードは「前進と改善」であり、「経済活力の中核的な担い手である民間企業が、不断の前進と改善を積み重ねていくことで、新たな発展に向けた道が切り拓ける」と結んだ。

活動報告

続いて、西室副会長が税制改正と年金制度改革、千速副会長が環境問題への取り組み、宮原副会長が政治への取り組みについて、活動を報告した。

西室副会長は税制改正について、平成16年度の与党税制改正大綱において、法人税や住宅・土地関連税制を中心にかなりの成果が得られたと総括した。年金制度改革については、年金制度の抜本改革の展望がないままに、保険料率の上限を18.35%に設定するとの与党合意がなされたことに対して「大変残念」と述べた上で、社会保障制度全体の改革を、税制や財政改革と一体で進めるよう、政府・与党に対して強力に働きかけていく意向を示した。

環境問題について千速副会長は、「環境自主行動計画」の策定とそのフォローアップなど、経済界の取り組みを報告したほか、いわゆる環境税については、(1)景気の妨げになる (2)国内空洞化を促進する (3)エネルギー課税は既に過重である――ことなどから、日本経団連として反対との見解を改めて表明した。

政策本位の政治の実現に向けた日本経団連の取り組みについて、宮原副会長は、「企業が政治に積極的に関与し、寄付を通じて政治を活性化することは、よりよい社会を築くための重要な社会貢献であるとの考えを、経済界の共通認識にすることをめざした取り組みである」と説明した。

意見交換

意見交換ではまず、関西地区会員の南谷昌二郎・西日本旅客鉄道会長、町田勝彦・シャープ社長、青木初夫・藤沢薬品工業社長、矢嶋英敏・島津製作所会長、田崎雅元・川崎重工業社長が発言した。

関西の景気についての意見では、「明るさが見え始めたが回復の兆候は力強いものではない」とし、関西の活性化策として (1)国際観光の振興 (2)関西国際空港2期工事の完成 (3)都市再生――を指摘した。
また、韓国や台湾、中国などの海外メーカーが躍進する中、日本は「モノづくりをベースとした技術立国」であるべきで、そのための重要な課題として「税制(法人税・減価償却制度)」「為替」を挙げる意見も出された。
さらに、研究開発において知的財産権が極めて重要であることから、日本経団連に取り組みを求める意見もあった。

これらの意見のうち、国際観光の振興について西岡副会長は、訪日外国人観光客のさらなる誘致が喫緊の課題とした上で、関西以外の地域とも連携しつつ、魅力的な「観光商品」を開発していく必要があるとした。都市再生については、伝統的な建築物や文化遺産を維持・保存する反面、再開発により新しく魅力的な都市空間を創造するというメリハリのある政策の推進が重要と語った。
知的財産権について、高原評議員会副議長は、「日本経団連としては、国際競争力の強化につながるような知的財産政策の推進に引き続き努めたい」と述べた。

最後に総括した奥田会長は、 「会員の意見を聞くと、経済のベクトルは合っていると感じた」と述べた上で、「政治寄付を通じて、政治とうまく歯車を合わせてやっていく必要がある」と語った。


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