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経営タイムス No.2711 (2004年2月26日)

日本経団連、企業の社会的責任(CSR)推進へ

−「基本的考え方」を発表/民間の自主的取り組み強調


日本経団連(奥田碩会長)は17日、企業の社会的責任(CSR)推進にあたっての基本的考え方を発表した。考え方の骨子は、(1)日本経団連としてCSRの推進に積極的に取り組む (2)CSRは官主導ではなく、民間の自主的取り組みによって進められるべきである (3)日本経団連の企業行動憲章とその実行の手引きを見直してCSRの指針とする――の3点。この考えに基づいて、日本経団連では、4月を目途に企業行動憲章を改定し、CSR指針として発表することとしている。

今回、日本経団連がCSRについて積極的に取り組む考えを明らかにした背景には、CSRに対する内外の社会的関心の高まりがある。経済のグローバル化や情報化、消費者意識の変化などにより、CSRをより広い視野から捉え直すべきとの認識が強まり、国際的にもそのあり方が論議されている。CSRの具体的内容は、国や地域で考え方が異なり、国際的な定義はないものの、一般的には、企業活動において、経済や環境、社会の側面を総合的に捉えることで、競争力の源泉とし、企業価値の向上につなげることと理解されている。
かねてから、企業の社会的責任を重要な課題として積極的に推進してきた日本経団連は、このような新たな意味合いのCSRに対して積極的に取り組むとの考えを、今回あらためて示している。

【CSRは民間の自主的取り組みで】

CSRについては現在、官主導による規格化や法制化に向けた動きがある。それに対して日本経団連は、社会的責任に配慮した経営や、その情報発信、コミュニケーション手法などは、企業の自主性や主体性が最大限に発揮される分野であるとの考えから、反対の姿勢を表明している。さらに、官が主導してCSRに取り組むことは、簡素で効率的な政府づくりにも反するとして、CSRは民間による自主的で多様な取り組みで進めるべきであると訴えている。

欧米の産業界をみると、「CSRには積極的に取り組むが、ISO(国際標準化機構)による規格化には反対」との立場をとっている。企業の取り組みも、コーポレートガバナンス(企業統治)、企業倫理・コンプライアンス(法令順守)を基礎に、ネガティブ・インパクトの防止だけではなく、社会の持続的な発展に貢献することを掲げている。さらに、各企業が独自の企業戦略・ブランド戦略に基づいて優先分野を決め、その分野に集中的に取り組む「戦略的集中」によって、各企業の個性を出している。

企業行動憲章改定、4月を目途に「指針」

【CSR指針としての企業行動憲章】

日本経団連の企業行動憲章は、1991年に経団連が会員企業の申し合わせとして制定したもの。96年には憲章改定にあわせ、実行の手引きを作成し、また、2002年の憲章の再改定では、社内体制整備と運用強化に関する7項目を要請するなど、経営トップのイニシアチブによる取り組みを働きかけてきた。
昨年実施した会員企業の対応状況に関する調査(トップ向けアンケート結果/担当者向けアンケート結果<PDF>)によると、回答企業の多くが、自社の憲章や行動規範の制定、企業倫理委員会設置等の体制整備、教育・研修の実施などを行っており、企業行動憲章の考えが広く浸透していることが明らかになった。
日本経団連では引き続き、会員企業に継続的な取り組みを促すために、毎年10月を「企業倫理月間」と定め、企業行動の総点検や研修などを集中的に実施するよう要請している。

こうした経緯と実績をもつ日本経団連の企業行動憲章は、消費者・ユーザー、市場、株主、環境、社会貢献、従業員、海外など、CSRで求められるステークホルダーとの関係を網羅しており、実質的なCSR憲章といえる。そこで、企業行動憲章と実行の手引きを、サプライチェーン・マネジメントや説明責任など、CSRの視点から4月を目途に見直し、新たなCSRの指針として、世界に発信することとした。
また、社会的責任は、営利企業に限定されないことから、行政やNGОなど、あらゆる部門が自らの問題として受け止め、取り組むことを求めている。


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