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経営タイムス No.2714 (2004年3月18日)

日本経団連、パーション・スウェーデン首相と懇談

−欧州の経済情勢などで意見交換


日本経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で、スウェーデン王国のヨーラン・パーション首相との昼食懇談会を開催した。懇談会には日本経団連から、奥田碩会長、西室泰三副会長、宮原賢次副会長、西岡喬副会長、和田紀夫副会長、米倉弘昌ヨーロッパ地域委員会共同委員長、大久保尚武自然保護協議会会長、辻亨国際協力委員会共同委員長、坂根正弘サブサハラ地域委員長らが出席、欧州の経済情勢などについて意見交換を行った。

懇談会の冒頭、奥田会長は、今年5月に新たに10カ国がEUに加盟することやEU憲法条約の制定などEU改革の動向も注目されることから、「今年は欧州情勢に注目が集まる年」と述べ、EU拡大の経済的影響やユーロの問題など欧州情勢を中心に話し合いたいと語った。

続いて、パーション首相はまず、スウェーデンが1995年のEU加盟をテコとして、大胆な財政建て直しに成功した経緯を説明した。
EUの拡大については、「今後も拡大が続き、5億人消費市場という、より大きな存在になる」と述べ、その過程で域内に自然と地理的なグループが形成されると予測。最も高い成長を遂げる可能性があるグループとして、スウェーデンを含む北部欧州を挙げた。その上で、ロシアの民主化・市場経済化が順調に進むことによって、北部欧州グループがさらに発展する可能性があることを示唆した。
欧州通貨統合問題についてパーション首相は、「後戻りもできず、代替策もない。何としても成功させなければならない」とし、その達成への課題として、欧州経済の回復と、EU加盟国における構造改革の達成を指摘した。
また、EUにとって大きな動きの1つであるEU憲法条約については、「欧州経済が好転してくれば、各国での批准が早期に終了することも期待できる」として、長期に停滞しているドイツ経済の回復が最大のカギとなると語った。

意見交換では、「ドイツ経済回復のためには今の構造改革で十分と考えるか」との質問に対して、パーション首相は、今の改革では不十分としながらも、ドイツ基本法(憲法)の制約があることから、今以上の改革を現時点で行うのは難しいとの見方を示し、シュレーダー首相の改革努力はもっと評価されるべきだと語った。
また、ロシアにおける民主化・市場経済化の進展をどうみるかという問いには、民主化・市場経済化のほか、貧富の格差是正や環境問題など、ロシアが直面している国内課題は多いと指摘。日本やスウェーデンなどの隣国が、ロシアのプーチン大統領の取り組みが成功するよう、時に厳しい助言をしながら、友人として最大限の支援を行う必要があると述べた。


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