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経営タイムス No.2723 (2004年5月27日)

河村文科相と意見交換

−日本経団連、科学技術政策などで


日本経団連(奥田碩会長)は17日、東京・大手町の経団連会館で、河村建夫文部科学大臣との懇談会を開催した。同懇談会には日本経団連から庄山悦彦副会長・産業技術委員長、西室泰三副会長、吉野浩行副会長、桜井正光産業技術委員会共同委員長、前田又兵衞政経行動委員長・むつ小川原開発推進委員長、秋元勇巳資源・エネルギー対策委員長、谷口一郎宇宙開発利用推進会議会長らが、文部科学省からは河村大臣のほか、稲葉大和副大臣、田村憲久大臣政務官、結城章夫審議官らが出席し、今後の科学技術政策のあり方などについて懇談した。庄山副会長が、産業界と文部科学省とが協力して、国民に科学技術の成果を還元していくべきと述べたことに対して、河村文科相は、「産業界と十分に連携をとり、科学技術の振興によって、安全・安心な社会の構築や経済活性化を図る必要がある」と応えた。

冒頭あいさつで庄山副会長は、日本の産業が国際競争で打ち勝っていくためには、他国がまねのできない製品やサービスを提供していくことが不可欠であるとして、「その鍵を握るのは技術開発の力であり、その背景にある科学の力である」ことを強調。その上で、文部科学省の科学技術創造立国の実現に向けた日ごろの取り組みを評価するとともに、そのさらなる強化と、具体的メリットが国民に及ぶような科学技術政策の推進を求めた。

続いてあいさつした河村文科相は、世界最高水準の科学技術創造立国をめざすための重点課題として、(1)政府研究開発投資の拡充 (2)大学・大学共同利用機関や独立行政法人への基盤的経費と競争的資金によるデュアル・サポート (3)重点4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)と、その融合領域への研究開発支援 (4)人材育成、知的財産戦略、産学官連携や地域科学技術の振興などシステム改革――を挙げた。

この後、庄山副会長が、科学技術政策への日本経団連の期待・要望を表明した。この中で庄山副会長は、産業の国際競争力強化に科学技術が貢献するには、(1)バイオ・ナノ・IT・環境の融合による重要課題の解決 (2)産業競争力につながる基盤的研究開発 (3)産業創生につながる基礎研究――が重要であることを指摘し、文部科学省と関係府省が連携してこれらを促進していくべきとの考えを述べた。また、独立行政法人化を含めた大学改革への期待感を示し、人材育成も含めた産学連携の推進を求めた。

自由懇談では、日本経団連側から「産業界を担う人材の育成のためには、初等教育時点からの全面的見直しが必要」「宇宙、原子力に関する科学技術の推進が不可欠であり、これらの分野に十分かつ適正な予算と人員の手当てを行うべき」「ITER(国際熱核融合実験炉)の日本誘致をぜひ成功させる必要がある」「バイオテクノロジーに関する施策のスピードアップが図れるよう、省庁を超えた『司令塔』が大切」「優秀な人材が、世界から日本に集まるような魅力ある環境づくりが必要」「科学・産業の基礎であり、国際競争が激化している計測・分析技術に、より一層の支援が必要」などの発言があった。
これらについて河村文科相は理解を示し、対応に努めると語った。


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