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経営タイムス No.2725 (2004年6月10日)

年金関連法が成立

−日本経団連、一体的改革へ引き続き働きかけ

−奥田会長「社会保障制度全体の見直しへの第一歩と理解」


年金関連法案は5日午前の参議院本会議で、民主党、社民党欠席のまま、自民党、公明党などの賛成多数で可決、成立した。同法案成立について、日本経団連の奥田碩会長は同日、「社会保障制度全体の見直しへの第一歩であると理解している」とのコメントを発表した(全文別掲)。

法案成立直前の参議院の動向を整理すると、3日の厚生労働委員会で、与党が共産党、社民党などの質問時間を残して法案を採決したことから、4日の本会議において野党は、国井正幸・参議院厚生労働委員会委員長の解任決議案や、倉田寛之・参議院議長の不信任決議案、坂口力・厚生労働大臣の問責決議案を提出したが、いずれも5日の本会議で否決。その後、年金関連法案の採決に入り、賛成多数で可決した。

法案の骨子は、厚生年金の保険料率を毎年0.354%ずつ引き上げ、2017年以降は18.3%(現行13.58%、労使折半)で固定する一方、年金の給付水準を年金制度の被保険者数などに応じて抑制するというもの。しかし、日本経団連などの要請の結果、衆議院通過時に「(1)社会保障制度全般について、税・保険料等の負担と給付のあり方を含め、一体的な見直しを行いつつ、公的年金制度について必要な見直しを行う (2)公的年金制度についての見直しに当たっては、同制度の一元化を展望し、体系のあり方について検討を行う」旨の附則修正が追加され、参議院においても政府原案にその修正を追加した内容で可決した。

今後は、年金・医療・介護など社会保障制度を一体的に改革するための協議機関を設置し、公的年金制度の一元化を含めた検討を早急に開始することが求められるだけでなく、国民年金未納・未加入問題では、未納付国民年金保険料の納付を促すための対策を検討する必要がある。日本経団連は、社会保障制度を財政や税制と一体的に改革し、国民にわかりやすく、持続可能な制度とすべく、引き続き働きかけていくこととしている。

また、法案成立を受けて、企業年金関係も取り扱いが変わる。主な施行スケジュールは、確定拠出年金拠出額の引き上げ(今年10月)、厚生年金基金免除保険料凍結解除および厚生年金基金解散特例実施(2005年4月)など。詳細を定める政省令は現在、厚生労働省などを中心に検討を進めている。


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