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経営タイムス No.2725 (2004年6月10日)

コンテンツ振興法成立

−具体的施策、戦略的に体系化


コンテンツ振興法(「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」)が5月28日、参議院本会議で可決され、成立した。同法は、エンターテインメント・コンテンツの振興に国家戦略として取り組むことを示したもので、資金調達や権利侵害への対応、海外展開、公正取引、中小企業・消費者への配慮など、コンテンツおよびコンテンツ事業の振興に関して講じるべき具体的施策を戦略的に体系化している。

日本経団連は昨年8月、産業問題委員会の下にエンターテインメント・コンテンツ産業部会(部会長=依田巽・エイベックス会長兼社長)を設け、同年11月に「エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向けて」を発表した。同法の制定はこの提言で求めていたものであり、こうした経済界の動きを受けて、与党議員などにより昨年12月にコンテンツ産業振興議員連盟が発足。議員立法で法案を作成し、スピード実現した。

同法は、基本理念として、(1)コンテンツ制作者の創造性が十分に発揮され、コンテンツに係る知的財産権が国内外において適正に保護されること (2)コンテンツの円滑な流通が促進されること等を通じて、国民生活の向上と多様な文化の創造に資すること (3)コンテンツ事業者の自律的発展が促されること等を通じて、多様なコンテンツ事業の創出、事業の効率化および高度化、国際競争力の強化が図られ、経済社会の活力の向上・持続的な発展に寄与すること――などを掲げ、コンテンツの「制作者・権利者」と「事業者」との両者について規律している。そうした意味で、同法はコンテンツに関する基本法と位置付けられる。

また、同法の対象となる「コンテンツ」を、「文字、図形、色彩、音声、動作、映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらを提供するためのプログラムであって、教養又は娯楽の範囲に属するもの」と定義。例えば映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ、ゲームなどが該当する。

このように定義することにより、これまで業界ごとに分かれていたソフトウェア等を「コンテンツ」として横断的に規律することになる。

さらに、知的財産戦略本部を核としたコンテンツ関係行政機関等の連携体制を構築するとともに、施策を知的財産推進計画に反映させることとし、施策実施のための法制・財政・金融上の措置を講じることを政府の責務としている。

一方、国などが保有する良質なコンテンツを積極的に国民に提供することや、コンテンツ制作の委託等に係る知的財産権を国が受託者から譲り受けないことができるという、コンテンツに関する「日本版バイ・ドール条項」も盛り込まれた。これにより有用な知的財産権を国に「死蔵」させずに民間によって活用することが可能となった。


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