日本経団連タイムス No.2731 (2004年7月22日)

日本経団連・日本ベトナム経済委員会、2004年度総会を開催

−日越関係の課題と展望/外務省2審議官が説明


日本経団連の日本ベトナム経済委員会(岡素之委員長)は8日、東京・大手町の経団連会館で2004年度総会を開催し、2003年度事業報告・収支決算、役員改選、2004年度事業計画・収支予算の議案審議を行い、原案通り承認した。このほか総会では、議案審議に先立って、外務省アジア大洋州局の西宮伸一審議官と経済協力局の広瀬哲樹審議官から、今後の日越関係の課題と展望について話を聴いた。西宮審議官と広瀬審議官の発言概要は次のとおり。

<西宮審議官説明要旨>

日本にとってベトナムは、「地政学」「アセアンの統合」「国際社会におけるパートナー」という3つの観点から重要な国である。中国と国境を接し、東南アジアの要に位置するという地政学上の重要性に加えて、アセアンの統合のために、後発加盟国4カ国のリーダーとして、加盟国間の格差是正に向けて大きな役割を果たすことが期待されている。また、国際的な地位を高めたいとの明確な意欲をもっており、日本にとって、こうした志の高い国をパートナーとすることは意義深い。
一方、ベトナム側も、特に近年、日本をあらゆる分野で重要なパートナーと位置付けるようになった。

今後、両国は、来年の初めから交渉を開始すべく努力している「日アセアン包括的経済連携」の枠組みの中で、経済連携協定に向けた交渉を行う予定である。
これまで、日本経団連や現地の日本商工会の協力を得て、官民一体で両国の経済関係を大きく進展させることができた。今後とも経済連携交渉などにおいて、支援願いたい。

<広瀬審議官説明要旨>

ベトナムの投資環境改善のために、昨年12月、44項目の行動計画からなる最終報告書をとりまとめた日越共同イニシアチブについては、第1回モニタリング委員会を先月開催して、フォローアップ状況を確認した。ベトナム政府は概ね積極的な姿勢であるが、これまでに改善がみられた分野はごく一部で、多くの重要な問題は未解決である。
例えば、外国人の個人所得税の最高税率引き下げが決まった一方で、大きな懸案事項として、外資系企業に対する優遇税制が廃止されたほか、四輪車・二輪車政策の問題についても、いまだ協議中である。

アセアンの各国が投資環境を競う中、ベトナムにおける問題解決は、他国の環境改善にも影響を与え得ることから重要である。今後、日本政府としては、ベトナムの改革意欲を一層喚起するためにODA(政府開発援助)を活用する仕組みをつくりたい。

【国際経済本部アジア・大洋州担当】
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