日本経団連は25日、「春季労使交渉に関するトップ・マネジメントのアンケート調査」の2004年の結果を発表した。これによると、過半数の企業が定期昇給のみを実施し、3社に1社が定昇制度の廃止・見直しを実施または検討しているほか、今回初めて調査した高齢者雇用への取り組みでは、60歳以降も雇用を継続するための何らかの制度を持っている企業が8割にものぼっていることが明らかになった。
今次労使交渉における賃金決定の結果(非管理職)は、前年(50.1%)に続いて5割以上の企業(54.3%)が、「ベアは実施せず、定昇のみ実施」した。また、「定昇の一部縮減」(4.6%)と、「ベア・定昇とも実施せず(賃金額据え置き)」(5.0%)の回答をあわせると約1割になったが、「降給」を実施した企業はなかった。
一方、「ベア・定昇とも実施」は3.9%、「ベア・定昇の区分はないが、賃上げを実施」は19.2%となっている。
3社に1社(33.0%)が「定昇制度の廃止・見直し」の実施または検討を行ったほか、「管理職の賃金額据え置き」は8.7%(前年13.9%)、「管理職の賃金減額」は6.3%(同10.2%)と、いずれも前年より減少した。
賞与・一時金では、対前年1人当たりで「引き上げた」企業は23.9%、「引き下げた」企業は18.9%と、引き上げた企業が引き下げた企業を上回った。
また、「賞与・一時金の業績連動制導入(検討含む)」をした企業は28.3%と、前年より5.2ポイント増加した。
「定昇制度を廃止し、降給も含めた成果や業績による賃金決定とすべき」とする企業が5割(56.9%)を超え、また、「定昇のみとし、成果や業績は賞与に反映すべき」とする企業も3割(30.4%)を超えるなど、成果や業績は賞与に反映するとの傾向がより強まっている。
今次労使交渉の場で、「雇用問題が取り上げられた」企業は4分の1(24.5%)と、前年(36.0%)と比べ、11.5ポイント減少した。また、取り上げられた場合の措置として最も多かったのは、「将来に向けて雇用維持を優先させるため、賃上げを抑えた」と、「雇用と賃上げとは別個の問題として切り離して、それぞれ対処した」が、それぞれ8.8%(回答のあった企業に対する割合)となっている。
今後の雇用形態の組み合わせについては、「長期雇用労働者中心だが、パート・派遣等の比率を拡大する」と回答した企業が52.0%で最も多くなっているほか、「今後も長期雇用労働者を中心にする」企業は29.2%で、前年(26.9%)より増加した。
60歳以降も雇用を継続するための何らかの制度を持っている企業は8割(80.0%)にものぼっている。このうち、「定年は60歳で、60歳を超える継続雇用制度を導入し、会社が認めた者に限定している」企業は7割近く(65.8%)に達しているほか、「原則、希望者全員の継続雇用制度を導入している」企業も約1割(10.7%)あった。さらに、「60歳より上の定年制度を導入している」企業は3.3%、「定年の定めはない」企業は0.2%となっている。
また、60歳を超える継続雇用制度または定年制度を導入している場合の最高雇用年齢は、65歳が約半数(45.5%)を占め、次いで62歳(29.6%)、63歳(18.1%)の順となっている。
同調査は、1969年より毎年、その年の春季労使交渉の状況を、企業のトップ・マネジメントにアンケート調査しているもの。2004年は、日本経団連会員会社および東京経営者協会会員会社の計2091社を対象に、545社から回答を得た(回収率26.1%)。