日本経団連タイムス No.2735 (2004年8月26日)

日本経団連、9月に訪欧経済ミッション派遣


日本経団連(奥田碩会長)は9月2〜9日の日程で、訪欧経済ミッションを、ポルトガル、スペイン、アイルランドの3カ国に派遣する。同訪欧ミッションには、ヨーロッパ地域委員長でもある米倉弘昌副会長を団長に、佐々木元・ヨーロッパ地域委員会共同委員長はじめ関係企業幹部ら約20名が参加。ロペス・ポルトガル首相、ソルベス・スペイン第二副首相兼経済相、アハーン・アイルランド首相をはじめとする各国の政府要人や経済界のリーダーとの懇談・意見交換を予定している。

今回、同訪欧ミッションを派遣することとした背景には、EU拡大の実現と、欧州憲法条約の合意がある。
今年5月のEU拡大によって誕生した、4億5000万人の単一市場である拡大EU市場は、日本はじめ域外国の企業にとっても新たなビジネス機会を意味している。また、6月のEU首脳会議において、今後のEU改革の大きな指針となる欧州憲法条約が合意され、EUの拡大と深化は新たな段階に移行した。

こうしたなか、現在極めて良好な日欧関係をより高度で成熟したものとするためには、欧州を「面」として捉え、正確かつタイムリーな情勢把握に努める必要がある。さらに今後、域外国企業の欧州ビジネスの重点が中東欧地域に移行していくとの観測があり、すでに日本企業の中にも、EUの東方拡大を視野に入れた欧州事業再構築の動きが見られる。

他方、EUが東方に拡大する中、アイルランド、スペイン、ポルトガルなど、これまでEU加盟国として欧州統合市場のメリットを活用して経済の活性化を果たしてきた国々が現在、EUの拡大と深化をどう捉え、自国のさらなる経済発展や産業構造の転換、EU内外の国々との経済関係について、どのようなビジョン・政策を遂行しようとしているのかが注目されている。

こうしたことを踏まえ、EU拡大が実現し、欧州憲法条約が合意されたこの時期に、日本経団連は同訪欧ミッションを派遣し、各国の政府ならびに経済界の指導者との間で、各国経済の現状と見通し、各国の事業・投資環境、EUの拡大と深化の現状と展望、自国の経済発展戦略における位置づけ、EU域外国・地域との経済関係、さらには、日本との二国間の経済関係強化の方途などについて、意見交換を行うこととしている。

【国際経済本部欧州担当】
Copyright © Nippon Keidanren