日本経団連タイムス No.2736 (2004年9月2日)

約9割の企業が据え置き/日本経団連04年3月卒新規学卒者決定初任給調査

−大卒事務系は20万3557円/昨年に引き続き低水準


日本経団連(奥田碩会長)は1日、「2004年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果」<PDF>を発表した。この調査は、今年3月に卒業して4月に入社した新規学卒者(新入社員)に対して実際に支払われた初任給(決定初任給)を調べたもの。これによると、今年の大学卒事務系の初任給は20万3557円(前年比0.15%)で昨年に引き続いて低い水準であることや、前年の初任給のまま初任給を据え置いた企業が約9割(88.3%)にのぼり、1999年以降6年連続して5割を超えていることなどが明らかになった。同調査結果の概要は次のとおり。

1.初任給水準

2004年の初任給水準は、大学院卒事務系22万2448円(前年比0.07%)、大学卒事務系20万3557円(同0.15%)、高専卒技術系17万8453円(同0.06%)、短大卒事務系16万8649円(同0.18%)、高校卒事務系15万7938円(同0.04%)、高校卒現業系15万9890円(同0.00%)となっている。高校卒現業系以外の学歴で増加しているものの、昨年に引き続いて低い伸び率となっている。

2.初任給格差

(1)産業間格差

産業別にみると、大学卒事務系では「新聞・出版・印刷」(21万9452円)が最高で、次いで「紙・パルプ」(21万4600円)、「その他の製造業」(21万3659円)の順となっている。
一方、最低は「金融・保険業」(17万9625円)で、「電気・ガス業」(19万8376円)、「鉱業」(20万630円)などが続いている。なお、最高額と最低額の差は3万9827円(前年4万8639円)で、昨年より1万円ほど、縮小している。

(2)規模間格差

規模別・学歴別にみると、大学院卒事務系と大学卒事務系では、300〜499人規模で最も高く、それぞれ23万2625円、21万1014円となっている。短大卒事務系、高校卒事務系、高校卒現業系では、100人未満規模が、18万1600円、16万2617円、16万4499円で、それぞれ最も高くなっている。
また、3000人以上規模の企業の各学歴別初任給を100.0とした規模間格差をみると、大学院卒事務系では300〜499人規模のみ、大学卒事務系では1000人未満の各規模、短大卒事務系、高校卒事務系では500人未満の各規模、高校卒現業系では500〜999人規模を除く各規模において、100.0を上回っている。

3.初任給の決定状況

「前年の初任給のまま据え置いた」(初任給凍結)と回答した企業は88.3%(前年91.4%)と約9割を占め、1999年以降6年連続で5割、2002年以降3年連続で8割を超えている。
一方、「求人賃金として2003年の初任給を示し、2004年の初任給は引き上げた」企業は8.8%(同5.2%)と、前年に比べて3.6ポイント増加した。

初任給水準の評価は8割強が「ほぼ妥当」

4.初任給水準についての評価

自社の初任給水準について企業がどのように評価しているかを聞いたところ、「現在の労働力需給関係からみて、ほぼ妥当である」とする企業が8割以上(82.8%)となっている。
規模別にみても、「ほぼ妥当」との回答企業が各規模で7〜8割を占め、なかでも3000人以上規模では、9割近い企業(87.7%)が「ほぼ妥当」と回答している。

5.その他

初任給から格差をつける制度の導入状況を今回初めて調査したところ、回答のあった企業(682社)中、「導入している」企業は2.6%(18社)、「導入を予定・検討中」である企業は2.5%(17社)であった。このうち、新入社員全員を適用対象とする企業は、「導入している」企業で94.4%(18社中17社)、「導入を予定・検討中」である企業で82.4%(17社中14社)となっている。

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同調査は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために1952年より毎年実施している。今回の調査では、日本経団連の企業会員および東京経営者協会会員会社2084社を対象に調査を行い、725社から回答を得た(有効回答率34.8%)。

【労働政策本部労政・企画担当】
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