日本経団連タイムス No.2736 (2004年9月2日)

「医師の面接指導」制度化など

−過重労働・メンタルヘルス対策/厚労省検討会が報告書


厚生労働省の「過重労働・メンタルへルス対策の在り方に係る検討会」(座長=和田攻・東京大学名誉教授)は8月18日に会合を開催し、報告書をとりまとめた。同検討会は仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の増加、過重労働による脳・心疾患の労災認定件数の増加などによって、過重労働による健康障害防止対策やメンタルへルス対策が重要となっていることから、今年4月より有識者10名による検討を重ねてきた。

これに対して日本経団連は、7月20日に人事労務管理委員会労働安全衛生部会(久保國興部会長)を開催して、厚生労働省の担当官から「議論のまとめ(案)」に関する説明を聴取した上で、意見交換を行った。さらに、報告書とりまとめ段階においても、同検討会委員を通じて使用者側意見の反映に努めるなどの対応を行った。

今後、今回とりまとめた同検討会の報告書などを踏まえて、今月7日から開催する厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会において、労働安全衛生法令の改正審議がスタートする予定。
日本経団連としては、日本経団連推薦の同審議会使用者代表委員などと連携しながら、対応していく。
同報告書の主なポイントは次のとおり。

●取り組むべき対策の方向

1.過重労働による健康障害防止対策

脳・心疾患の発症リスクが高まった場合の「医師による面接指導」の実施を制度化すべき(月100時間を超える時間外労働を行った場合等)。

2.メンタルへルス対策

前記の面接指導において、メンタルへルス面についてもチェックを行うようにすべき。
労働者本人または家族や職場の同僚などが不調を疑った場合は、相談等事業場内外での対応が必要。
労働者の教育、管理監督者に対する研修、相談体制の整備等の措置が不可欠。

3.体制の整備

産業医、産業保健スタッフの資質の向上等による体制の整備が不可欠。衛生委員会等の活用による自主的取り組みが重要。
家族を通じたメンタルへルス対策を、地域と職域が連携して進めることが必要。

【国民生活本部安全・衛生担当】
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