日本経団連タイムス No.2740 (2004年9月30日)

日本経団連中小企業委員会開く

−「ピジョンにおける人材確保・育成の取り組みと課題」/大越取締役の講演を聴取


日本経団連の中小企業委員会(指田禎一委員長)は24日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。同委員会は現在、中小企業における人材育成・確保の課題について検討しており、今回は企業の事例研究として「ピジョンにおける人材確保・育成の取り組みと課題」と題して、ピジョンの大越昭夫取締役から講演を聴取した。講演の中で大越氏は、同社が2002年に行った人事制度改革の概要や人材育成の施策・考え方等について説明。自らが考えて、課題を解決していく人材の育成が大きな課題であると語った。大越氏の講演の概要は次のとおり。

ピジョンでは、2001年10月に、2002年からの中期3カ年計画「企業価値の創造21」を打ち出し、その中で人・組織の改革を行うことを全従業員に発表した。この改革は、(1)「コーポレートガバナンス(企業統治)」の確立 (2)新人事制度の構築 (3)中堅・若手人材の活性化――の3点が柱である。この改革を成功させるための最も重要なポイントとして従業員に求めているのが、「自己責任の伴う自立」。指示を待つのではなく、自らが考え、課題を率先して解決していくことが重要であり、このような人材をどのように育成するかが大きな課題である。

人事制度の具体的な改革としては、2002年2月より成果主義人事制度を導入した。資格等級制度や目標管理制度、人事考課制度、賃金・給与制度など、あらゆるシステムの見直しを行った。
なかでも目標管理制度の導入にあたっては、個人目標より部門目標が第1であることや、目標設定では上司と部下の目標の「契約の場」として、期初に「設定会」を設け、ほかのメンバーも参加して十分に議論した上で、目標を設定するなどの工夫をしている。

人材育成については、コンピテンシー(行動特性)を設定して、それに基づいて必要な施策を講じているほか、2004年5月からは次期ボードメンバーの育成を目的に、選抜教育を実施している。

【労働政策本部労政・企画担当】
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