日本経団連タイムス No.2744 (2004年10月28日)

第9回日中産業シンポジウム開催

−東アジア地域経済一体化推進へ/両国経営者が認識共有化


日本経団連(奥田碩会長)は14日、中国・山東省青島市において、中国企業連合会(陳錦華会長)と共催で、「第9回日中産業シンポジウム」を開催した。同シンポジウムは、日中の経営者の相互理解促進を目的に、毎年、日中両国交互に開催しているもので、今回は「東アジア地域経済一体化と日中両国企業」がテーマ。日本経団連の奥田会長はじめ、草刈隆郎副会長など両国企業の代表者ら約170名が参加。東アジア地域経済の一体化という広い視点からの日中間のパートナーシップのあり方や、両国企業のグローバル経営戦略などについて意見交換を行った。

奥田会長、「共通の利益」超えた「共通の価値」創造を

冒頭のあいさつで中国企業連合会の陳会長は、東アジア地域経済一体化の推進が域内各国の共通利益となることや、その推進の過程で日中両国が重要な役割を果たす責務があることを強調した。

これを受けてあいさつした奥田会長は、日中両国が共に東アジアにおけるリーダーシップを発揮していくためには、両国の協力・信頼関係を深めていくことが重要であると指摘。その上で奥田会長は、両国の関係深化のためには「共通の利益」を超えた「共通の価値」の創造が求められると説いた。

続くパネルディスカッションには、日本側から草刈副会長、鈴木正一郎・労使関係委員会共同委員長、篠原巖・中国委員会企画部会長、籾井勝人・三井物産副社長が、中国側から王基銘・中国石油化工総裁、艾宝俊・上海宝鋼総経理、張継升・三連集団董事長、王智礼・山東省通信公司青島分公司総経理がパネリストとして登壇。東アジア地域経済一体化に向けて克服すべき課題として、東アジアの多様性が極めて高いことや、政治・外交的な側面での連携が弱いことなどを指摘する意見が挙がった。
また、日中経済関係については、その緊密化が進む中で、今後予想される経済摩擦への対応や、両国のビジネス環境の整備、中国のWTO加盟約束の順守、日本の構造改革といった国内改革の推進などが重要であることを確認した。
さらに、「政冷経熱」といわれる、現在の日中関係に関しては、「ビジネス活動を通じて経済交流を一層促進することによって、政治関係にも良い影響を及ぼすことが必要である」との意見が出された。
東アジア地域経済の一体化が両国企業に与える影響としては、企業間競争が熾烈化し、技術開発の加速化が必要になるといった課題が生じる一方で、競争による企業体質の強化や、国際市場の開拓などによって、チャンスの拡大が期待できるとの指摘があった。
また、競争に効果的に対応するために、両国企業間の提携・協力が促進している現状を確認し合った。

【国際労働政策本部国際交流担当】
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