日本経団連タイムス No.2746 (2004年11月18日)

日墨EPAセミナー開催


日本経団連の日本メキシコ経済委員会(小枝至委員長)は4日、都内のホテルで、メキシコ国立貿易銀行と共催で、「日本―メキシコ経済連携協定(日墨EPA)セミナー」を開催した。日墨EPAは、9月17日に小泉首相とメキシコのフォックス大統領が、メキシコシティで協定文書の署名式を行い、今秋の両国国会での批准手続きを経て、2005年4月1日の発効をめざしている。同セミナーは、こうした動きを踏まえ、開催されたもの。同セミナーには、日本側は小枝・日本メキシコ経済委員長はじめ、上原尚剛・同委員会日墨協定に関する懇談会座長、藤崎一郎・外務省外務審議官など日本企業関係者や政府関係者らが、メキシコ側はビジャロボス経済省通商交渉担当次官、ルイスカバーニャス駐日メキシコ大使、メキシコ州政府代表など政府関係者ら、両国あわせて約200名が参加。日墨EPAの内容や効果などについて、両国の関係者が説明するとともに、メキシコ側との個別投資相談会を行った。

同セミナーでの説明において日本側は、長い友好の歴史を有する日墨両国がEPAを締結することは大変意義深く、これを梃子に新たな関係強化を図りたいとの考えを示した。その上で、日墨EPAの締結によって、(1)特に貿易分野で数量が拡大するとともに産品が多様化すること (2)投資分野では対メキシコ投資が一層増大すること――を指摘した。
また、政府系金融機関のさまざまな融資プログラムにより、エネルギー・通信・上下水道の整備や環境などの分野で、金融面での協力が拡大する可能性にも言及した。
さらに、日墨EPAの締結によって、メキシコでの日本企業のビジネスにおいて、中・長期的な戦略の立案が可能になったとして歓迎の意を表すとともに、EPA協定を効果的に活用するために、メキシコのビジネス環境の改善と裾野産業の整備などが急務であると語った。

一方、メキシコ側は、日墨EPAの締結によって、メキシコ産品の対日輸出が拡大するとともに、日本企業の対メキシコ投資、特に、自動車・同部品産業や電子電機産業において、日本からの投資が拡大することへの大きな期待感を示した。

説明において日墨双方は、日墨EPAが両国の相互補完性を発揮させ、両国間の経済関係を一層強化するとの認識で一致。さらに、EPA協定発効後、EPA協定全体の実施・運用をレビューする政府関係者による合同委員会や、特定の分野についての実施・運用をレビューする11の小委員会、民間代表者の参加も可能なビジネス環境整備委員会などを通じて、EPA協定の効果を評価していくことでも、認識を共有した。

【国際経済本部中南米・中東・アフリカ担当】
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