日本経団連タイムス No.2748 (2004年12月2日)

第31回北陸地方経済懇談会開く/企業のダイナミズム発揮と北陸経済活性化へ

−構造改革特区や環境問題、社会資本整備など論議


日本経団連(奥田碩会長)と北陸経済連合会(山田圭藏会長)は11月17日、富山市内のホテルで「第31回北陸地方経済懇談会」を開催した。同懇談会には、奥田会長や千速晃副会長、西室泰三副会長、三木繁光副会長、宮原賢次副会長、西岡喬副会長、高原慶一朗評議員会副議長ら日本経団連首脳役員、北経連の会員企業など約120名が出席。「企業のダイナミズムの発揮と北陸経済の活性化に向けて」を基本テーマに、社会資本整備や構造改革特区、環境問題への対応など、日本経済と北陸が抱える諸課題について意見を交換。また、懇談会に先立ち、日本経団連は富山市の電子部品、電子・FA機器の製造メーカーである立山科学工業を視察した。

開会あいさつで北経連の山田会長は、北陸経済の現状について、景気は回復に向かいつつあるものの基調は弱く、業種間や企業間のばらつきが見られるとし、先行きについても、原油価格や為替など不透明な要素があることから、予断を許さないとの見方を示した。
その上で山田会長は、北陸地域が日本の「環日本海交流のゲートウェイ」としての機能を果たすべく、(1)北陸新幹線をはじめとする社会資本整備の促進 (2)個性と魅力ある地域づくり――に軸足を置き、北経連が活動展開していることを紹介した。

■ 活動報告

第1部では、日本経団連から、西室副会長が「税制改正をめぐる動き」、三木副会長が「国の基本問題をめぐる検討」、宮原副会長が「政治への取り組みと経済連携の促進」について、それぞれ活動を報告した。

続いて、北経連からはまず、江守幹男副会長が、(1)北陸新幹線の全線フル規格整備 (2)東海北陸自動車道など高規格幹線道路の整備 (3)北陸3空港のトライアングル化――など、北陸の社会資本の整備促進について報告。

次に、八嶋健三副会長は、「北陸はひとつ」の基本理念の下、北経連が北陸3県と「北陸広域連携懇話会」を2001年に発足させ、(1)広域観光の推進 (2)環境問題解決に向けた諸活動の展開 (3)道州制に関する検討 (4)韓国や中国などとの環日本海交流の展開――といった諸課題に取り組んでいることを紹介した。

最後に活動を報告した水野卓哉常任理事は、新事業・新産業創出に向けた取り組みとして、(1)自由にシーズ・ニーズ・アイデアを持ち寄って事業化につなげる場である「北陸スーパー・テクノ・コンソーシアム(STC)事業」 (2)テーマ別研究会方式で成果創出をめざす「北陸ものづくり創生協議会」――を挙げて説明した。

■ 自由討議

第2部の自由討議では、北経連側から、北陸経済界の長年の悲願である北陸新幹線の建設促進や、国の基本的責務といえる治山治水事業の実施などの社会資本整備への要望、三位一体改革については、「国庫補助負担金の廃止・削減、地方交付税の見直しとともに、税源移譲についても進めるべく議論し、地方分権の実現に向けた議論が重要」との意見が出された。
また、産業の活性化に有効な方策と考えられる構造改革特区の活用など規制改革の推進や、若年労働者の雇用対策に対する日本経団連の取り組みへの質問、さらに、環境税の導入について、国際競争力の低下や国内産業の空洞化など日本経済に与える影響が極めて大きいことから、北経連としてその導入に反対する意見表明などがあった。

これらの発言に対して日本経団連は、「北陸地方における社会資本整備は、環日本海交流のゲートウェイ、地域の自立という観点からも、大変重要である」(西岡副会長)、「地方の意見を伺いながら、地域経済の発展に資する地方行財政のあり方を検討していきたい」(西室副会長)、「構造改革特区は、国民や企業から提案をいかに多く引き出すかが制度成功のカギ。政府には、提案を大事にして実現に結び付けていく取り組み強化が不可欠」(高原副議長)、「北経連から、環境税反対の表明をいただき大変心強い。地元の国会議員の方々に、強力な働きかけをぜひお願いしたい」(千速副会長)――などとコメントした。
若年労働者の雇用対策については、奥田会長が総括の中で言及。若年無業者の増加は、将来の日本の競争力を左右する問題であるとし、若年者の実態を十分に把握した上で、よりきめ細かい対策が必要であると語った。

【総務本部総務担当】
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