日本経団連タイムス No.2750 (2005年1月1日)

第58回評議員会を開催

−奥田会長、企業倫理の確立を強調/王駐日中国大使が講演


日本経団連は12月21日、東京・大手町の経団連会館で、「第58回評議員会」を開催した。評議員会には、奥田碩会長、森下洋一評議員会議長、西室泰三副会長、柴田昌治副会長、宮原賢次副会長、出井伸之副会長、和田紀夫副会長、草刈隆郎副会長、高原慶一朗副議長、平島治副議長、池田守男副議長、宮内義彦副議長、渡文明副議長、岩沙弘道副議長はじめ、評議員ら約300名が出席した。

冒頭、森下評議員会議長が評議員を代表してあいさつ。2005年は足元の経済情勢のみならず、持続的経済成長を維持していけるかを左右する正念場になるとの見方を示した上で、構造改革を加速化するとともに、少子化対策や地球温暖化問題、政治への取り組みなどの諸課題を一つひとつ解決し、21世紀のグローバリゼーション時代にふさわしい日本の実現に向けて、奥田会長をはじめとする日本経団連執行部が多方面にわたって強力に議論をリードすることを期待すると述べた。

続いてあいさつした奥田会長は、今後の重要課題として、(1)国民の活力を引き出す (2)民間の創意工夫を活かす (3)世界のトップランナーとなる (4)個人の多様な力を伸ばす (5)通商・外交・安全保障政策を再構築する――の5点を挙げ、これらの実現には政治の強いリーダーシップが必要と指摘。政治に対して積極的に政策提言を行うとともに、企業は社会的責任の一端として資金面からも応分の協力を行うべきであるとして、日本経団連が実施している政党の政策評価を参考に、企業が自発的に政治寄付を行うよう理解と協力を求めた。
また奥田会長は、日本経団連が改革の実現を政府に求めていくには、すべての企業が企業倫理の確立に努めることが不可欠であるとし、経営者が正しく強くあり続けるという姿勢が、強い競争力を育て、社会に信頼される企業をつくると述べ、経営トップの姿勢こそが不祥事防止の根幹であり、企業倫理の確立は経営トップの責務であると強調した。

次に、王毅駐日中国大使が「日中関係のチャンスとチャレンジ」と題して来賓講演を行った。その中で王大使は、現在の日中関係は、さらなる発展に向けて、貿易・投資関係等を通じた共同発展・繁栄、北東アジア地域における恒久平和の構築、そして東アジア経済共同体への期待という3つの歴史的なチャンスを迎えていると指摘。長く密接な関係を持つ日中の経済界が、経済だけでなく、両国の友好と相互理解の促進に向けて、大きな役割を果たすことを期待していると述べた。

「改革なくして成長なし」―小泉首相が改めて考え方を示す

来賓としてあいさつした小泉純一郎総理大臣は、自らが進める構造改革に対する日本経団連の支援に謝意を表するとともに、「改革なくして成長なし」との考え方を改めて示した。
また、小泉首相は、民間主導による経済の持続成長を実現するためには、民間の創意工夫が重要であることを強調し、そのための環境を整備することが政治の役割であり、構造改革に果敢に挑戦していくとの決意を表明した。

続いて、中川昭一経済産業大臣、町村信孝外務大臣、谷垣禎一財務大臣、尾辻秀久厚生労働大臣、竹中平蔵内閣府特命担当大臣(経済財政政策、郵政民営化)があいさつし、行政の取り組みや2005年度予算編成、社会保障制度改革、郵政民営化の推進などについて、抱負を語った。

【総務本部総務担当】
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