日本経団連タイムス No.2750 (2005年1月1日)

環境税反対で総決起大会

−日商など60団体と合同で開催/満場一致で「決議」を採択


日本経団連は12月9日、都内で日本商工会議所などの経済団体や中小企業団体および業界団体60団体と合同で「『環境』に名を借りた新税反対総決起大会」を開催した。決起大会には各団体関係者のほか、自由民主党や公明党の国会議員約50名を含む約950名が参加し、環境税反対の気勢を上げた。

効果なく企業経営に深刻な打撃を与える―山本環境安全委共同委員長

大会の冒頭、主催者を代表してあいさつした山本一元日本経団連環境安全委員会共同委員長は「環境税は全く効果がないばかりか、企業経営に極めて深刻な打撃を与える。必要なのは新税ではない」と環境税反対をあらためて表明した。続いて、与党を代表し望月義夫自由民主党経済産業部会長、松あきら公明党経済産業部会長が登壇し、与党内で現在議論している環境税の創設に強く反対する考えを示した。この中で望月部会長は、「『環境』という名前を利用した単なる増税は、皆の力を結集して必ず阻止しなければいけない」と主張。松部会長も「景気に減速傾向が現れてきた中、地球規模での問題解決にならない安易な増税には断固反対である」と訴えた。
また、来場した国会議員からも「温暖化対策は地球規模で進めるべき」「環境税は国民全体にとって悪税」など、その創設に反対する発言が相次いだ。

大会の最後には、(1)経済界は引き続き温暖化対策に積極的に取り組む (2)「環境」に名を借りた故なき新税である「環境税」に断固反対する (3)増税なき温暖化対策に国・自治体・企業・国民が一丸となって取り組む――との決議を満場一致で採択し、その場で与党代表に手渡した。

決議

地球温暖化対策は、人類共通の重要な課題であり、全地球規模で長期的視野にたって排出削減に取り組む必要がある。京都議定書は来年2月に発効することとなり、わが国はその目標達成に向け最大限の取り組みを実施する必要がある。

地球温暖化問題においては、誰もが「加害者」であり「被害者」である。従って、税さえ払えば良いという受身の立場ではなく、国、自治体、企業、国民それぞれが温室効果ガス削減に向けて主体的に取り組むことが不可欠である。また、温暖化に関する取り組みは、環境と経済の両立を前提とすべきであり、国は各主体の自主的・積極的な取り組みが最大限発揮されるような対策の強化を基本とすべきである。

現在、地球温暖化対策の目標達成の方途として「環境税」導入が提案されているが、同税は次のとおり根本的問題がある。

  1. 「環境税」では、CO2排出が増大している民生・運輸部門への効果は期待できない。他方、厳しい企業経営環境下、コストの価格転嫁は困難であり、地域経済や雇用に及ぼす影響は甚大である。とりわけ中小企業の経営環境への影響は軽視されるべきでない。

  2. 「環境税」の導入はわが国産業の国際競争力に大きな打撃を与える。これにより、エネルギー効率の高い日本から効率の低い中国等へ生産が移転し、却って地球全体の温室効果ガスの増大を招く。

  3. 「環境税」は、既存予算の使途の徹底的な見直しもないまま、国民に対し新たな税の負担を求めるものであり、まさに「環境税」ありきの考えである。

我々はこのような認識のもと、次のとおり決議する。

  1. 我々は温暖化問題を自らの問題として認識し、積極的にその対策に取り組む。

  2. 「環境」に名を借りた故なき新税である「環境税」は不要であり、断固反対する。

  3. 増税なき温暖化対策の実現に向け、国、自治体、企業、国民が一丸となって取り組むことを強く求める。

平成16年12月9日「環境」に名を借りた新税反対総決起大会

【環境・技術本部環境担当】
Copyright © Nippon Keidanren