日本経団連タイムス No.2751 (2005年1月13日)

昇給、ベースアップ実施状況調査結果を発表/ベア未実施企業が9割超す

−賃上げ率1.90%、額5990円/年俸制導入、4年連続3割超


日本経団連が12月15日に発表した、2004年1〜6月実施分「昇給、ベースアップ実施状況調査結果」<PDF>によると、(1)賃上げ率は1.90%(昇給分1.87%、ベースアップ分0.03%) (2)ベースアップ未実施企業が9割超(94.4%) (3)年俸制導入企業が4年連続3割超の38.9% (4)家族手当など属人的賃金の支給制度据え置きが約6割(57.1%)――であることが明らかになった。同調査結果の概要は次のとおり。

1.賃上げの状況(全産業、組合員平均)

「昇給とベースアップの区別のある企業」(178社)の賃上げ状況をみると、賃上げ額は5990円(昇給分5898円、ベースアップ分92円)伸び率1.90%(昇給分1.87%、ベースアップ分0.03%)となっている。また、賃上げ総額に占める昇給額とベースアップ額の割合は、昇給額がほとんどを占め(98.5%)、ベースアップ額はわずか1.5%。

次に、昇給とベースアップに分けて、アップ率の分布状況をみると、昇給率は「1.5〜1.9%」(33.7%)が最も多く、「2.0〜2.4%」(27.0%)、「1.0〜1.4%」(17.4%)と続いている。
一方、ベースアップ率は、「0.4%以下」が98.3%とほとんどを占め、次いで「0.5〜0.9%」「1.0〜1.4%」「2.0〜2.4%」(各0.6%)の順。

2.昇給、ベースアップの実施状況(組合員)

「昇給とベアの区別のある企業」(178社)の昇給とベアの実施状況をみると、「昇給実施、べアなし」が9割(163社、91.6%)を占め、昨年(90.0%)に続いて9割を超えた。そのほか、「昇給・ベアともに実施」は10社(5.6%)、「賃金抑制、ベアなし」は5社(2.8%)、「昇給・ベアともに実施せず」「賃金引き下げ」は0社(0.0%)となっている。

3.年俸制の導入状況

年俸制導入について回答した398社のうち、年俸制を導入していると回答した企業は155社38.9%で、2001年(31.5%)以降4年連続して30%を超えた。また、年俸制の適用対象者では「管理職」が約8割(79.4%)で最も多くなっている。

属人的賃金の支給制度、据え置きが約6割

4.属人的賃金項目について

今回初めて、手当など属人的賃金項目について調査を実施した(複数回答)。その結果、「家族(扶養)手当」を支給している企業は9割超(93.5%)、「住宅手当」は5割超(52.5%)に上っていることがわかった。
また、今後の賃金制度を考える上で、属人的賃金項目をどのように捉えるかについては、「据え置く」が過半数(57.1%)を占め、「できるだけ廃止・縮小」は約4割(38.8%)、「全廃」は4.2%であった。

◇ ◇ ◇

「昇給、ベースアップ実施状況調査」は、昇給とベースアップの実施状況について総括的な調査を行い、賃金対策のための参考資料とすることを目的に、1953年より毎年実施しているもの。
今回の調査では、日本経済団体連合会および東京経営者協会会員会社2084社のうち、400社が回答した(有効回答率19.2%)。回答会社のうち、従業員500人以上の企業が約7割(282社、70.5%)を占めている。
なお、同調査における「昇給」は、昇格・昇進昇給などベースアップ以外の賃上げ総額である。

【労働政策本部労政・企画担当】
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