日本経団連タイムス No.2753 (2005年1月27日)

連合首脳と懇談

−「春季労使交渉」で意見交換


日本経団連は18日、東京・大手町の経団連会館で、日本労働組合総連合会(連合)との首脳懇談会を開催した。同懇談会には、日本経団連から奥田碩会長、西室泰三副会長、柴田昌治副会長、立石信雄国際労働委員長、安西邦夫人事労務管理委員長、加藤丈夫労使関係委員会共同委員長、鈴木正一郎労使関係委員会共同委員長らが、連合からは笹森清会長ら首脳役員が出席、今年の春季労使交渉をめぐる諸問題について意見を交換した。

懇談の冒頭、連合の笹森会長は、今年の春季労使交渉について、業種や規模、地域によって差はあるものの、企業の業績は回復基調にあると指摘した上で、企業の業績回復は働く人の貢献によって達成されていることから、雇用や賃金、労働条件の面で働く人に還元すべきだと訴えた。
また、社会保障制度の抜本的改革の推進に意欲を見せ、政治の場で改革のための議論がスタートするよう、日本経団連と共同で取り組んでいきたいと述べた。

続いてあいさつした奥田会長は、労使が一体となって21世紀型の日本社会をつくっていく必要があるとの考えを示した。
また、税制と財政、社会保障制度を一体的に改革することを、今年の最重要課題として位置づけた。

続いて行われた意見交換の冒頭、経営労働政策委員長を務める柴田副会長が、今年の春季労使交渉における経営側の基本姿勢を示した2005年版の『経営労働政策委員会報告(経労委報告)』1月1日号既報)を概説した。その中で柴田副会長は、今回の経労委報告のタイトルを「労使はいまこそさらなる改革を進めよう」としたことに言及し、「企業が生き残るために”攻めの経営”を進めていくには、労使がタイアップして取り組まなければならないという強い思いを込めている」と語った。その上で柴田副会長は、05年の労使交渉は、賃上げを中心とした従来型のいわゆる「春闘」から脱却し、賃金だけではなく、山積する経営諸課題についても労使が春に真摯に討議する場、「春討」にすることが重要であるとの認識を示した。

この後、日本経団連と連合は、賃金問題にとどまらず、春季労使交渉に関わる幅広い課題について、意見を交換。この中で連合からは、「企業の業績回復が見られる中、家計部門への所得移転が必要」「パート労働者は正社員になれないことへの不満、解雇・雇止めへの不安などを抱えながら仕事をしている。日本経団連はパートの均等処遇、格差是正といった施策を打ち出すべき」「取り引き先企業の労使交渉に不当な圧力がかからないよう、日本経団連は前向きな対応をすべき」などの意見が出された。

一方、日本経団連は「総じていえば、賃金を一律に引き上げるベースアップは困難であり、定期昇給も見直すべき」「社会保障の一体的改革については、連合とも意見交換をしながら取り組んでいきたい」「次世代育成支援対策推進法の関係で、支援対策について労使で議論を行っていると思うが、そういったことも労使協議のテーマになり得ると思う」などの考えを表明した。

【労働政策本部労政・企画担当】
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