日本経団連タイムス No.2755 (2005年2月10日)

産業問題委・雇用委が合同会合

−蒲原・法務省官房審議官、外国人受け入れで講演


日本経団連の産業問題委員会(岡村正共同委員長・齋藤宏共同委員長)と雇用委員会(大橋洋治委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、法務省の蒲原正義官房審議官から、新たな出入国管理基本計画の策定に向けた取り組みについて説明を聴取するとともに、意見交換を行った。

蒲原審議官はまず、昨年末に第4次出入国管理政策懇談会(法務大臣の私的懇談会)がまとめた「人口減少時代における出入国管理行政の当面の課題〜円滑化と厳格化の両立に向けて〜」と題する報告書について説明した。同報告書は、専門的・技術的分野の外国人労働者については引き続き円滑な受け入れ策を講じるべきとする一方、外国人による凶悪犯罪等によって国民の治安への不安が高まっていることを踏まえ、不法滞在者については一層厳格な対策を講じていく必要があるとしている。
また、同報告書は主な検討課題として、「専門的、技術的分野における外国人労働者の受け入れの促進」「人口減少時代における出入国管理行政の課題」「人材育成を通じた国際関係の展開」「文化交流の拡大(訪日観光客の拡大など)」「長期にわたりわが国に滞在する外国人への対応」「不法滞在者問題への対応」の六つを挙げている。

その上で蒲原審議官は日本の生産年齢人口が1995年をピークに減少に転じており、今後は長期的に大幅な減少が見込まれていることから、生産年齢人口の減少の大部分を外国人労働者の受け入れで量的に補うことは非現実的としつつも、日本の経済活力や国民生活を維持していくためには、現在は専門的・技術的とは評価されていない分野での外国人労働者受け入れについても検討していくことが必要との考え方を示した。
また、蒲原審議官は、政府内部にも依然として相当慎重な意見がある中で、今回、法務省がこうした分野での受け入れを検討する考えを明示したことは、大きな意義があると語った。
一方、現在約25万人と推計されている不法滞在者への対策については、入国管理局が積極的な摘発や効率的な送還に努めているものの、依然として高い水準にあることから、2008年までに不法滞在者を半減させるべく、あらゆる施策の動員が必要との考えを示した。
さらに、法務省が検討している新たな出入国管理基本計画について蒲原審議官は、同報告書を踏まえ、2月から3月にかけてパブリックコメントを行い、広く国民の意見を聞いた上で、04年度末までには策定したいとの意向を示した。

自由懇談では、日本経団連側から、経済連携交渉における出入国管理についての交渉方針等を質問した。これに対し蒲原審議官は、政府としての交渉責任者は外務省とした上で、法務省が中心的にかかわっている、人の移動については、今の出入国管理の立場を大きく踏み外さない範囲で、できるだけ相手国の希望を踏まえた受け入れを進めていきたいと語った。

【産業本部産業基盤担当、労働政策本部雇用・労務管理担当】
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