日本経団連タイムス No.2759-01

開会あいさつで中国経連の高須会長は、地域・企業・住民が互いの知恵を結集し、自らが主体となって地域づくりに取り組まなければ、本日の基本テーマである「中国地域のダイナミズムの発揮と活性化」の実現は困難であるとの認識を示した。
その上で、中国地域の新たな発展に向けて、(1)地域産業の再生 (2)個性的で魅力ある地域づくり (3)地方分権の推進――などに取り組んでいることを紹介、日本経団連に支援、協力を求めた。

■活動報告

第１部では、日本経団連側から、西室泰三副会長が「平成１８年度税制改正」、柴田昌治副会長が「観光振興への取り組み」、宮原賢次副会長が「経済連携の促進」について、活動を報告した。

続いて、中国経連側からはまず、渡辺一秀副会長が「産学官連携の推進」について発言。２００２年開催の中国地域産学官連携サミットで採択した「中国地域発展のための産学官連携マスタープラン」に基づいた推進活動の成果として、(1)共同研究成果の実用化（２２９６件） (2)大学発ベンチャー創出（６１社） (3)産学官連携予算拡大（２倍増）――などを披露した。
その上で、こうした活動成果を定着させ、産学官連携を一層推進していくための取り組みや仕組みづくりが最も重要であると述べ、具体的な行動計画としてのアクションプランをとりまとめるなど、中国経連としても努めていきたいと語った。

次に、宇田誠副会長が、「瀬戸内海地域の総合整備の推進に向けた取り組み」について報告した。その中で宇田副会長は、自然環境とともに、歴史・文化など地域資源の豊かな瀬戸内海地域が、高度経済成長以降の経済・社会環境の大きな変化により、以前の活力や賑わい、自然の美しさも失われつつあると指摘した。そこで中国経連が、２１世紀における瀬戸内海地域の新たな発展の方向とその道筋を示すビジョンとして、昨年９月に「瀬戸内海創生構想」を策定したことを紹介。今後は同構想を確かなものとすべく、瀬戸内海沿岸域の利活用の新たな仕組みづくりや瀬戸内海ブランドの確立に向けた新たな広域圏づくりなどの具体化を検討していきたいとの意向を示した。

また、「広域観光の推進に向けた取り組み」を報告した岡﨑彬副会長は、昨年１１月開催の「中国地方の観光振興を支援する百人委員会」が採択した「倉敷アピール」を受け、今年は (1)中国地域を売り込む事業の効果的な組み合わせによる戦略的な実施 (2)広島・中部国際・関西・福岡などの各空港を起点とする中国地域広域観光ルートの造成とその売り込みの検討――を大きな柱として取り組んでいくと説明した。
その上で岡﨑副会長は、「観光振興を、中国地域が一体となった取り組みへとさらに盛り上げていくことが、今後の中国経連の果たすべき役割の１つではないか」と結んだ。

■自由討議

第２部の自由討議では、中国経連側から、地方分権の推進に関して、(1)市町村合併や事業の民間委託など地方の行政改革の進展 (2)地方の自主税源の確保――についての報告や、環境税導入に反対する意見、社会基盤について、山陽と山陰を結ぶ交通ネットワークが非常に弱い上、防災や医療といった国民生活の観点からも非常に脆弱であり、引き続き整備を進めるべきなどの意見があった。
また、科学技術創造立国の実現には、地域産業の国際競争力強化で中核を担う人材の育成が重要であり、研究開発した技術を事業に結びつける「ＭＯＴ」（技術経営）教育に産学官が連携して取り組むことが重要と指摘する発言もあった。
さらに、中国地域が中国や韓国など東アジア諸国と人的・物的・文化的交流に以前から積極的に取り組んできたことを紹介した上で、現在交渉中の東アジア諸国との経済連携協定（ＥＰＡ）の推進を求める意見が出された。

これらに対して日本経団連側は、「権限と財源を一体的に地方に移譲することで、地域の実態に沿った地域行政の実現を図るべきである」（西室副会長）、「社会基盤整備はまず、整備する範囲や規模を決めるとともに、財源措置についても、従来にとらわれない、さまざまな方策を考えていく必要がある」（柴田副会長）、「ＭＯＴ人材や知的財産権を扱う人材、産学連携を担う人材など、これまでの大学教育では育成されにくかった人材を育てるべく、単位認定される本格的なインターンシップの導入などを文部科学省と検討している」（高原慶一朗評議員会副議長）、「ＥＰＡの推進に向け、政府の関係方面や与党に引き続き働きかけていく」（宮原副会長）――などとコメントした。
最後に総括した奥田会長は、「中国地域が自らの特性を活かして積極的に取り組んでいることが印象的だった」と述べるとともに、“地方自立・地方自治”の意識が芽生えてきたことを実感し、心強く感じたと語った。

中国地方経済懇談会開く

－新たな発展へ意見交換

■活動報告

■自由討議