日本経団連タイムス No.2766 (2005年5月12日)

環境自主行動計画第三者評価委報告会開く

−昨年度指摘事項の着実な改善を評価/経済指標統一など新たな指摘や課題提起も


日本経団連(奥田碩会長)は4月22日、東京・大手町の経団連会館で、経団連環境自主行動計画に対する第三者評価委員会の報告会を開催した。報告会では、日本経団連が昨年11月に公表した環境自主行動計画2004年度フォローアップ結果04年12月9日号既報)に対する第三者評価委員会の評価や今後の課題について、第三者評価委員会の山口光恒委員長(帝京大学経済学部教授)、浅田浄江委員(ウィメンズ・エナジー・ネットワーク代表)が説明を行った。

第三者評価委員会は、日本経団連が「2010年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制する」という目標の下で進めている環境自主行動計画フォローアップの透明性・信頼性を向上させるために第三者の立場から検討を行うもので、02年7月に設置。既に02年度、03年度の2回の評価で、フォローアップのデータ収集・集計方法や記載内容の充実などに関する指摘を行い、日本経団連は、これに基づいて自主行動計画の改善を図っている。

この日の報告会では、山口委員長が、「日本経団連の自主行動計画を成功させれば、世界的にも大変良い前例になり得ることから、(フォローアップを)第三者の立場から見ても信頼に足るものとすべきである」とあいさつし、04年度の第三者評価報告書の説明を行った。
山口委員長は説明の中で、昨年度の評価報告書での指摘事項については着実に改善が図られつつあると述べる一方、「目標期間である10年度の予測数値を計算する際の前提となる経済指標を統一すべきである」「排出量の増減に関する理由説明を一層充実すべきである」「LCA(ライフサイクルアセスメント=製品の製造から利用、廃棄に至るまでの総合的な環境負荷評価)的な観点からの評価を推進すべきである」などの点を新たに指摘した。
また、自主行動計画のさらなる改善に向けた課題として、(1)業種別の目標の見直しが安易に行われることのないよう、変更理由や目標の妥当性などについて十分な説明責任が必要であり、目標見直しに関する統一的な方針を検討すべきである (2)フォローアップの要因分析に当たって海外進出といった産業構造の変化を考慮すべきである (3)自主行動計画は業種別目標で構成されているが、全体目標の達成蓋然性について検証方法の改善を図るべきである (4)CO2排出量は経済活動量に影響されることから、自ら責任をもって取り組める指標として、原単位(活動量当たりのエネルギー消費量やCO2排出量)をより重視すべきである (5)費用効率的な温室効果ガスの削減を図る観点から、自主行動計画による削減コストの評価を行うべきである (6)信頼性・透明性の向上のために外部専門機関の利用やデータベース整備を進めるべきである (7)民生・運輸部門に属する業種の参加を促すべきである――といった事項を挙げた。

また、浅田委員からは、「温暖化効果ガスの排出が増大している民生・運輸部門での対策の強化が強く求められており、産業界としてもサービス産業やオフィス部門、物流などにおける対策を強化すべきである」との指摘があった。

説明に続いて行われた質疑では、日本経団連側から、「省エネ法の強化などの施策と自主行動計画の関係をどう考えるか」「活動量は原単位の改善にも関係があり、原単位は(指標として)必ずしも万能ではない」などの質問や意見が出された。

日本経団連では、第三者評価委員会から今回指摘された事項について、05年度環境自主行動計画フォローアップ作業において改善を図っていく予定である。

【環境・技術本部環境・エネルギー担当】
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