日本経団連タイムス No.2766 (2005年5月12日)

米国企業改革法でセミナー

−雇用関連問題の留意点探る


日本経団連のアメリカ委員会(張富士夫委員長)は10日、東京・大手町の経団連会館で「米国企業改革法に関連して留意すべき雇用関連問題」をテーマとするセミナーを開催、ニクソン・ピーボディLLP法律事務所パートナーのフィリップ・ベルコヴィッツ氏、ジェフ・コーヘン氏からの説明を聴取した。

米国企業改革法=Sarbanes Oxley法(SOX)は、エンロンやワールドコムなどの会計不祥事発生を受けて、コーポレートガバナンスを強化し、投資家の証券市場に対する信用を回復することをねらいに2002年に制定されたもの。米国公開のすべての企業が適用対象となる。

説明の中でコーヘン氏はSOXの施行が企業に与えた影響として、(1)重要と思われる経営情報を、従来に比べ幅広くかつ頻繁に開示することが義務付けられたため、莫大な費用と時間を要するようになった (2)内部統制が強化され、取締役の過半数を社外取締役としなければならなくなったことなどから、社外役員のなり手不足や報酬の高騰を招いた――といった問題点を挙げた。

また、ベルコヴィッツ氏は、企業の不正に関する従業員の内部告発に対し、企業が解雇などの手段で報復を行うことがSOXによって禁じられたことに言及。本来は他の事由によって解雇された従業員が、SOXを根拠に解雇の無効を争う事態に備え、企業は、「報復禁止」を明確に規定した上で、従業員解雇に際しては公正な調査を行うとともに、それを記録に残しておく必要があると述べ、企業への注意を喚起した。

【国際経済本部北米・オセアニア担当】
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