日本経団連タイムス No.2768 (2005年5月26日)

中小企業委員会開く

−2005年版中小企業白書、ポイントの説明聴取


日本経団連の中小企業委員会(指田禎一委員長)は18日、都内で会合を開催し、中小企業庁の西村雅夫次長から、2005年版中小企業白書のポイントについて説明を聴取した。

この中で西村次長は、中小企業の景気動向について、大企業に比べると回復の足取りは重く、特に非製造業や小規模企業では一段低い景況感にとどまっていると指摘。また地域別でみても、製造業の立地の多い大都市圏とそれ以外の地域とでは、景況感にばらつきがあると述べた。中小企業の生産の回復力は、大企業に比べて弱いものにとどまっているが、その要因として、(1)変動費(原材料価格)上昇への対応力の格差 (2)固定費比率の格差――を指摘、固定費比率の格差の一例として、売上高人件費比率が、大企業に比べて十分に低下していないことを挙げた。
中小企業の活力を高める方法について西村次長は、中小企業が各々の強みを持ち寄り、不足する経営資源を相互補完する連携活動が非常に高い効果を示すと説明。また中小企業の資金調達手段の特徴として、金融機関からの借入れへの依存度が高いことが挙げられることから、政府系中小企業金融機関の活用のほか、リレーションシップバンキング、クイックローンの活用など、金融機関からの借入れの円滑化が、中小企業の活力を高める上での重要な課題であると指摘した。

地方の人口が減少する中での都市の再生や商業集積の活性化については、都市機能の集約と都市中心部での定住人口増加を図るコンパクトな都市づくりによって、駅前の歩行者通行量を4割増加させることに成功した自治体の例を紹介した。

西村次長は、今後、労働力人口が減少していく中で、日本が豊かな国であり続けるためには、1人当たりGDPを維持向上することが必要であると述べた上で、中小企業では女性や高齢者が働いている割合が高いだけでなく、出産後も働き続ける女性の割合も高くなっていることから、労働力率を高めることに貢献していると指摘。さらに、フリーターを経て中小企業の正社員になる者の割合が高いことから、若年層の雇用の受け皿ともなっていると語った。また、これらのことからも、中小企業向け施策として、人材確保におけるミスマッチの解消や人材育成への支援、事業承継への円滑化が重要であると述べた。

委員会ではこのほか、中小企業の人材の問題をテーマに、意見交換を実施した。今後、事例聴取などを重ね、委員会としての報告を取りまとめる予定としている。

【労働政策本部労政・企画担当】
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