日本経団連タイムス No.2772 (2005年6月23日)

ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言を公表

−ホワイトカラーエグゼンプション制度新設を提案/一定要件下で労働時間規制適用を除外


賃金と労働時間の分離が急務と指摘

日本経団連は21日、「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を公表した。同提言は、経済界が従来から主張している、現在の労基法のホワイトカラーに対する画一的な労働時間規制の抜本的見直しについて具体的な検討を行い、その結果をとりまとめたもの。

同提言ではまず、ホワイトカラーの働き方の特性に着目し、労働時間と非労働時間の境界が曖昧である点や、労働時間の長さではなく成果に応じて処遇を行う成果主義賃金制度などの導入拡充傾向を指摘した上で、労働時間の概念を、賃金計算の基礎となる時間と健康配慮措置の基礎となる時間とに分けて考え、少なくとも賃金と労働時間とを分離することが急務であるとしている。

業務と賃金の2要件を設定

また、労働者の多様な働き方や仕事と生活の調和の実現に対するニーズや、国際競争の激化に伴う企業の生産性向上などのニーズを踏まえ、みなし労働時間制にとどまるなどの現行裁量労働制の問題点について指摘、思い切った労働時間規制の弾力化が必要であるとして、ホワイトカラーについて一定の要件のもとに労働時間規制の適用を除外するホワイトカラーエグゼンプション制度の新設を提案している。
この提案は、ホワイトカラー労働者のうち、仕事の専門性と時間管理について裁量性の高い労働者を、休憩・休日および深夜業に係る労働時間規制の対象外とするというものであり、制度の適用対象者については、業務と賃金の2つの要件を設けている。
具体的には、まず現行の専門業務型裁量労働制の対象業務については、賃金要件に関わらずホワイトカラーエグゼンプションの対象とし、それ以外の裁量的業務については、対象業務を法令で定める、もしくは労使自治(労使協定あるいは労使委員会)によって拡大できるものとし、その場合に一定の賃金要件(額は例示)を課して、労働者の保護を図ることとしている。

その他の特徴としては、制度の濫用防止のために、労使協定や労使委員会決議で対象業務を定めた場合には労働基準監督署長への届出を必要としていること、労働者の健康への配慮措置を労使で自主的に取り決める必要があるとしていることが挙げられる。
なお、同提言では、管理監督者についても深夜業に関する規定の適用を除外すべきであるとしている。

最後に、同提言では、働き方の多様化や生産性の向上を図るためにも、ホワイトカラーエグゼンプション制度の導入は必要不可欠なものであり、経済界として政府・関係省庁に対し、その早期実現を積極的に働きかけていきたいと訴えている。

【労働法制本部労働法制担当】
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