日本経団連タイムス No.2776 (2005年7月21日)

社内広報フォーラムKANSAI開く

−分科会で社内広報のスキルを徹底的に論議


日本経団連社内広報センターは8日、大阪市内で「第6回社内広報フォーラムKANSAI 2005」を、関西圏の各経営者協会と共催で開催した。フォーラムには関西圏だけでなく、関東や東海、中国、四国地区からの出席者もあり、約110名が参加した。

今回のフォーラムのテーマは、「腕を魅せよう―君の情熱は伝わっているか」。最近、社内報の外注化の傾向が進んでおり、その結果、社内報担当者の専門能力が薄れてきている。そのため、社内広報誌には、見かけはよくなったものの、現場のにおいが伝わらない、編集者としての意気込みが伝わらないといった傾向がみえる。企業の現場の実態や取扱製品を社内広報担当者が正しくつかんでいないことも要因で、その是正も必要だが、それにも増して大切なのが、社内広報担当者としての「現場力」、すなわち、編集の腕を上げるということである。
そのためには、既存の情報だけでなく、その元になる1次情報をいかに収集し、社内広報としての情報の発信源にしていくかという「情報の収集力」が必要となる。また、(1)経営のスピード化により、どうしても後追い企画になってしまうが、経営を先取りした「企画力」をいかに高めるか (2)企画にあった本当に面白い記事にするには、事前、事後を含めた徹底的な取材を行い、相手の本音や課題を引き出す必要があるが、そのような「取材力」はどうしたら身につくのか (3)「文章・表現力」はまず、書きたいテーマや主張があるのかを見極め、その上で、読者に伝わる文章力を向上させる必要があるが、そのためにはどうすべきか――を考えなければならない。
さらに社内広報にとっての「効果測定」は、これまで読者アンケートで評価してもらう程度であったが、本来は経営に与えるインパクトをどう測定するかが一番重要である。経営にインパクトを与えられれば、個々の企画は有効性や実効性を持ち、社内広報がより説得力のある活動となる。今回のフォーラムはこのようなコンセプトに基づいて7つの分科会を設置、社内広報のベテラン編集担当者によるコーディネートのもと、社内広報にとって必要なスキルを徹底的に論議した。

優秀な社内報制作を行っている企業の広報担当者がアドバイザーとなり、企画案を集中的に生み出していくテクニックを実習する「超企画力」の分科会を設けたり、新聞社の編集部長を講師として、プロの取材力や、内容が伝わる文章力・表現力に関する指導を受けるなど、実践的な分科会を設けて、さまざまなノウハウを伝授、分科会参加者からは「大いに刺激になった」との感想が寄せられた。

企業では近年、現場力の強化が経営課題といわれ、経営者と現場第一線との連携が重視されている。社内広報はこの両者をつなぐ懸け橋として重要な役割を果たすものである。そのためにもこれからは、社内広報担当者自身の「現場力」の真価が問われることになりそうだ。

【出版・研修事業本部社内広報センター】
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