日本経団連タイムス No.2779 (2005年8月11日)

NICC協議会第4回総会を開催

−CSRに関する先進的企業事例の講演を聴取


日本経団連のNICC協議会(立石信雄委員長)は、7月25日、東京・大手町の経団連会館において第4回総会を開催した。NICC(日本経団連国際協力センター)の2004年度事業報告や05年度活動計画の説明のほか、CSR(企業の社会的責任)に関する先進的な企業事例について講演を聴取した。

冒頭のあいさつで立石委員長は、「NICCの研修事業は、まだまだ規模が小さく、また人材育成はすぐに成果が出るものではないが、アジアにおける日本の将来を考えた時、地道な人材育成を通じた国際協力は、アジア諸国の経済発展への寄与とともに、対日関係の強化というかたちで大きな実を結ぶことになる」とNICC事業の意義を強調した。

NICC協議会会務報告の後、北川哲夫NICC専務理事が、04年度事業報告および05年度活動計画などを説明した。NICCを取り巻く厳しい環境を受け、事業面、財政面などあらゆる見直しを行う一方、支援企業拡大に向け努力している状況などを説明するとともに、NICCを支援している協議会会員に対して感謝の意を表し、引き続きの支援を呼びかけた。
その後、NICC事業に対し、外部の視点からアドバイスを行うNICC協議会運営会議を代表して、2名の委員がNICC事業への高い評価と今後の活動への率直なアドバイスを述べた。

昨今CSRへの関心が高まり、CSRは企業経営を語る上で欠くことのできないキーワードとなっているが、NICCへの支援活動は、CSRの一環とも捉えられる。そのような観点から、今年度の総会においては、「CSRに関する先進的な取組み」と題して、富士ゼロックスの秋山裕之CSRグループ長と資生堂の桑山三恵子CSR部部長の講演を聴取した。

秋山グループ長は、富士ゼロックスのCSRとは、(1)高い配当性向を継続できるなど経済的に「つよい」こと、(2)環境保全・社会貢献など地域社会、国際社会に対し「やさしい」こと、(3)従業員が同社の仕事に対し、また顧客や取引先が同社の製品などに対し「おもしろい」と感じること――の3つの要素からなる「よい会社」をめざす活動であると説明した。
さらに、CSR活動を推進するには、ステークホルダーとの対話や、CSR活動と経営計画・マネジメントシステムを連動させる仕組みとともに、経営トップのリーダーシップが不可欠であると強調した。

続いて桑山部長は、資生堂は (1)化粧・美容 (2)女性 (3)美・アート――という3つの領域から「資生堂らしいCSR活動」を展開していると述べた。さらに、女性管理職を積極的に登用し、男女共同参画推進のための社内制度を整備している、と説明した。また、海外子会社においても、CSR実践の基本である「 THE SHISEIDO CODE 」をそれぞれの国の言語に翻訳し、社員の間での浸透・定着を図っていると説明した。

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NICCは、1994年に設立した団体で、開発途上国の経営者団体の健全な発展ならびに経営管理者の育成をめざし、招聘研修事業などを実施している。
NICC協議会は、NICCを財政的に支援している企業から構成され、NICCの活動の理解を深めるともに、委員企業の意見を集約してその活動に資することを目的としている。

【労働法制本部国際関係担当】
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