日本経団連タイムス No.2780 (2005年8月25日)

2005年春季労使交渉トップ・マネジメント調査

−「定昇のみ」5割超


日本経団連(奥田碩会長)が23日に発表した「2005年春季労使交渉に関するトップ・マネジメントのアンケート調査結果」<PDF>によると、今次労使交渉において、(1)2社に1社が定昇のみ実施したこと (2)賞与・一時金を昨年より引き上げた企業の割合が引き下げた企業の割合を2年連続で上回ったこと (3)次世代育成支援対策への雇用環境整備では勤務制度に柔軟性を持たせる方策が多く採られていること――などが明らかになった。

前年より賞与・一時引き上げ、2年連続「引き下げ」上回る

1.今年の賃金決定の結果

「ベアは実施せず、定昇のみ実施」した企業が、昨年に続いて5割を超えている(53.5%)。そのほかでは、「賃金額の据え置き」が3.9%、「定昇一部縮減」が3.0%、「恒久的な降給」が0.2%となっている。

2.今後の望ましい賃金決定のあり方

「定昇制度を見直しまたは廃止し、降給を含めた成果や業績による賃金決定とすべき」とする企業が最も多く、4割超(45.3%)を占めている。また、「定昇のみとし、成果や業績はベアではなく賞与に反映させていくべき」とする企業が3割以上(36.0%)にのぼっている一方、従来型の「定昇+ベア」方式(1.0%)と「定昇を中心として必要があれば、ベアを行うべき」(9.3%)とする企業は、合わせて約1割にとどまっている。

3.今次労使交渉の結果、とられた措置

「定期昇給制度の見直し(一部廃止も含む)」を実施した企業は20.1%で、昨年(33.0%)より12.9ポイントの減少。また、「賃金据え置き」(7.1%)と「賃金減額」(1.4%)は、いずれも昨年より減少した。
賞与・一時金では、昨年より「引き上げた」企業が37.0%(昨年23.9%)、「引き下げた」企業が14.0%(同18.9%)で、引き上げた企業数が引き下げた企業数を2年連続して上回った。

4.高齢者雇用制度の状況

自社における定年制度と高齢者継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度など)の現状については、「60歳定年で、会社が認めた者に限定した継続雇用制度を導入」している企業が最も多く、6割(60.9%)を占めている。
また、昨年の調査結果と比べると、「60歳定年で、原則、希望者全員の継続雇用制度を導入」している企業が5.1ポイント増加(15.8%)、「60歳より上の定年制度を導入」している企業が1ポイント増加(4.3%)、60歳以降も何らかの形で働ける制度をもっている企業は8割以上(81.0%)にのぼっている。
また、06年4月1日から施行される「改正高年齢者雇用安定法」への対応では、「継続雇用制度の導入・拡充」が約8割(80.4%)、「すでに条件を満たしているため、特に対応せず」という企業が約1割(11.9%)という結果となっている。

5.次世代育成支援対策に関する雇用環境の整備対応

最も回答(複数回答)として多かったのは、「短時間勤務制度やフレックスタイム制度の導入」で、過半数(53.3%)を占めている。そのほかに多かった回答としては、「年次有給休暇取得推進」(45.8%)、「所定外労働時間の削減の取り組み」(45.0%)、「育児・介護休業法の規定を上回る育児休業期間の整備」(31.0%)などとなっており、勤務制度に柔軟性をもたせて対応している企業が多くなっている。

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「春季労使交渉に関するトップ・マネジメントのアンケート調査」は、今後の賃金対策や企業経営の参考とするために、1969年より毎年、その年の春季労使交渉についての企業トップの考え方を調査しているもの。今回の調査は、日本経団連会員企業と東京経営者協会会員会社2088社を対象に実施、509社から回答を得た(回収率24.4%)。

【労働政策本部労政・企画担当】
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