日本経団連タイムス No.2781 (2005年9月1日)

05年3月新規学卒者決定初任給調査

−凍結企業、4年連続で8割超/大卒事務系伸び率99年以降ほぼ横ばい


日本経団連(奥田碩会長)は8月31日、「2005年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果」<PDF>を発表した。この調査は、今年3月に卒業して4月に入社した新規学卒者に実際支払われた初任給(決定初任給)を調べたもの。同調査によると、(1)大学卒事務系の伸び率は1999年以降ほぼ横ばいで推移 (2)初任給凍結企業は02年から4年連続で8割超 (3)自社の初任給水準を「ほぼ妥当」とする企業は約85%――であることなどが明らかになった。同調査結果の概要は次のとおり。

1.初任給水準

05年の初任給水準は、大学院卒事務系22万1824円(対前年上昇率0.15%)、大学卒事務系20万3230円(同0.20%)、高専卒技術系17万8806円(同0.17%)、短大卒事務系16万9469円(同0.12%)、高校卒事務系15万9037円(同0.17%)、高校卒現業系16万470円(同0.10%)となっている。昨年と比べると、全体的に若干アップはしているものの、99年以降0.0〜0.3%で推移している。

2.初任給格差

(1)産業間格差

大学卒事務系では、最高が「新聞・出版・印刷」の22万7955円で、「化学・ゴム」の20万8195円、「サービス業」の20万7507円が続いている。一方、最低は「金融・保険業」の17万9722円で、次いで、「電気・ガス業」の19万7691円、「繊維・衣服」の19万9913円となっている。
最高と最低額の差は4万8233円で、前年調査(3万9827円)よりも広がっている。

(2)規模間格差

大学院卒事務系では、「100〜299人」規模が22万5592円で最も高くなっているほか、大学卒事務系と短大卒事務系、高校卒事務系、高校卒現業系では「100人未満」規模が、それぞれ20万7533円、17万8811円、16万2992円、16万7517円で最も高くなっている。
また、従業員3000人以上の大企業の各学歴別初任給を100.0として規模間格差をみると、大学卒事務系、高校卒現業系のすべての規模において100.0を上回っている。

3.初任給の決定状況

「前年の初任給のまま据え置いた(凍結)」企業は8割超(86.0%)となっており、初任給を凍結した企業の割合は、99年から7年連続で5割、02年から4年連続で8割を超えている。
一方、「求人賃金として04年の初任給を示し、05年の初任給は引き上げた」企業は12.3%(前年8.8%)と、前年より3.5ポイント増加した。

初任給水準8割以上が「ほぼ妥当」

4.初任給水準についての評価

自社の初任給水準をどう評価しているかを聞いたところ、「現在の労働力需給関係からみて、ほぼ妥当である」とする企業が8割以上(84.5%)を占めている。
規模別にみても、「ほぼ妥当である」との企業が各規模で8割前後となっており、なかでも3000人以上規模では、約9割(91.0%)にのぼっている。

◇ ◇ ◇

「新規学卒者決定初任給調査」は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために、1952年より毎年実施しているもの。今回の調査では、日本経団連の企業会員会社および東京経営者協会会員会社2075社を対象に調査を行い、652社の回答を集計した(有効回答率30.9%)。

【労働政策本部労政・企画担当】
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