日本経団連タイムス No.2786 (2005年10月6日)

中小企業委員会を開催

−「在職者訓練プログラムと生涯職業能力開発体系について」、雇用・能力開発機構から聴く


日本経団連の中小企業委員会(指田禎一委員長)は9月26日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。同委員会では現在、中小企業における人材育成・確保の課題について検討していることから、今回、「在職者訓練プログラムと生涯職業能力開発体系について」と題して、独立行政法人雇用・能力開発機構から講演を聴取した。
雇用・能力開発機構(以下、機構)は、(1)中小企業の雇用創出、人材確保のための助成金の支給相談等をはじめとした「雇用開発に関する業務」 (2)全国に約80カ所ある職業能力開発施設等の設置運営、事業主等の行う職業訓練の援助といった「能力開発」 (3)「勤労者の財産形成促進業等」――の大きな3つの業務を行っているが、今回は(2)の「能力開発」支援に関し、生涯職業能力開発体系を活用した、能力開発支援の説明が行われた。

まずはじめに、機構では、企業の外部環境の変化に伴い、仕事の内容が変化することによって、人事システムが変化することを前提として、仕事を分析し、企業で行われている仕事の内容に応じて、その企業に合った能力開発サービスを提供するという独自の生涯職業能力開発体系を構成していると説明した。
次に、生涯職業能力開発体系は、「職業能力体系」と「職業能力開発体系」からなっていると解説。「職業能力体系」とは、職務分析を行うとともに、仕事に必要な能力を知識面と技能技術面に分け、職業能力のものさしとなる仕事の体系を作ることで、「職業能力開発体系」は、その「職業能力体系」をベースに目標の設定や能力開発の道しるべとしての研修体系を作成するものであると述べた。

事業主に対する生涯職業能力開発体系のメリットについては、(1)企業等が必要とするスキルの明確化 (2)従業員のスキルの明確化と目標設定 (3)能力開発の成果(キャリア)の明確化 (4)段階的・体系的な人材育成 (5)計画的・効果的な人材育成 (6)適切な人員配置と目標に合わせた効果的な人材育成――の6点を挙げて説明し、中小企業などに、能力開発支援の積極的利用を呼びかけていることを紹介した。
さらに、職務分析については、現在41専門領域のモデルデータを整備しており、各事業主への提供を行っていることを紹介。また、キャリア形成促進助成金として、(1)キャリア・コンサルティング推進給付金 (2)訓練給付金 (3)職業能力評価推進給付金 (4)職業能力開発休暇給付金 (5)長期教育訓練休暇制度導入奨励金――の5つの給付金や奨励金についての内容を説明するとともに、事前に機構の各都道府県センターにおいて受給資格認定を受けなければならないといった適用条件等について概説し、生涯職業能力開発体系とあわせた活用を呼びかけた。

同会合ではこのほか、人材紹介や転職者支援、人事・労務コンサルティングを行うジェー・エム・アールの盛郷重光社長が、「人材紹介業の活用について」と題して講演。人材紹介業や人材派遣業等の現状、今後の見通しについての説明を聴取した。

【労働政策本部労政・企画担当】
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