日本経団連タイムス No.2790 (2005年11月3日)

仏・独へ観光立国調査団派遣

−政府要人や学識経験者らと懇談


日本経団連は10月2〜9日の日程で、「欧州における観光立国に関する調査ミッション」(団長=江頭邦雄評議員会副議長、観光委員長)を派遣した。今回のミッションは、今年6月に発表した、訪日外国人旅行者の増大に向けた「国際観光立国に関する提言」6月30日号既報)のフォローアップ作業の一環として行ったもの。一行は、フランスとドイツにおける観光立国に向けた取り組みについて、両国の政府要人や学識経験者等と懇談した。
ミッションの主要調査概要は次のとおり。

1.観光に係る人材育成

フランスでは90余の大学に観光関連学部が設置されており、履修の過程で実務研修が義務付けられることが多い。大学によっては卒業生の7割以上が実務研修を行った企業にそのまま就職している。

2.景観形成

フランス・ドイツ両国ともに、「地域住民にとって魅力的な街づくりをすることが観光客誘致にもつながる」という基本的な考えに立脚しており、州や自治体の条例によって、建造物の高さ、敷地面積、デザイン、素材等が詳細に決められ、美しい街を形成し、維持するための法的枠組みが整備されている。また、ベルリン州では観光名所でもあるブランデンブルク門の改修工事を企業広告による資金で賄うなど、民間資金を投入した街づくりを推進している。

3.対外情報発信

フランス・ドイツ両国ともに、政府観光局が中心となって海外における情報提供に力を入れている。政府観光局が民間企業から広告を募集し、その費用でプロモーション用のパンフレットを作成したり、雑誌社と提携してスポンサーを募った上で特集記事を組んだりするなど、限られた予算内で最大限の成果を上げる努力をしている。

◇ ◇ ◇

日本経団連では、これらミッションの調査結果を踏まえ、具体的なアクションプランを策定して観光立国に向けた取り組みを推進していく予定。また、既に10月24日に江頭委員長が、自民党の与謝野馨政調会長(当時、現経済財政・金融大臣)にミッションの報告を行ったほか、同28日には自民党観光特別委員会(委員長=二階俊博自民党総務局長・当時、現経済産業大臣)において、ミッションの調査結果を踏まえた観光立国に関する日本経団連の取り組みを紹介しており、引き続き政府・与党に対しての働きかけにも注力していくこととしている。

【産業本部国土担当】
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