日本経団連タイムス No.2791 (2005年11月17日)

「政策金融のあり方について」基本的考え方を公表

−日本と世界の現状を分析


日本経団連は11日、「政策金融のあり方について」の基本的考え方をまとめ、公表した。

同考え方ではまず、日本と世界の現状について (1)国内外を問わず長期・大型の開発プロジェクトに対するニーズは高く、資金需要増大の可能性が強い (2)世界的に資源・エネルギー需給が逼迫する中、その海外依存度が高い日本が持続的・安定的に資源・エネルギーの確保を図ることは国益に直結する (3)開発途上国からの基礎的インフラの整備に関する協力要請が絶えることはない (4)日本国内でも国際競争力の維持・強化に資するインフラ整備の必要性が高い (5)近年、各地で自然災害が頻発、被災地域や企業に対する復興支援は大きな課題――と分析。こうした中、従来の政策金融については、「官から民へ」という政府方針の下、その機能を精査し、可能なものは民間に委ね、あくまでも民業補完の方向で改革を進めるべきとしている。

またその際には、保証や利子補給などの手法を取り入れることも含め、民間による融資対象拡大や民間金融機関の競争力強化を促しながら、政策目的との整合性・成果を検証しつつ、不断の見直しを行うことが必要と指摘している。

一方、現状においては、(1)海外の大型プロジェクト、特にリスクの高い資源・エネルギー開発や開発途上国のインフラ整備に対する超長期のファイナンス機能 (2)国内における資源・エネルギー開発、産業・国民生活基盤の維持・強化のための超長期のファイナンス機能 (3)自然災害発生時における地域の産業復興支援や経済・金融環境の激変時における中小零細企業などへの事業支援といったセーフティネツト機能、特定地域への政策的産業支援――などについては、民間金融機関でそのすべてを代替することは難しいとして、これらの機能については、当面、その維持に配慮するよう求めている。

【国際協力本部国際協力担当】
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