日本経団連タイムス No.2792 (2005年11月24日)

準天頂衛星フォーラム開く

−額賀防衛庁長官らが出席し懇親会も


日本経団連は1日、新衛星ビジネスとの共催で「準天頂衛星フォーラム」を開催した。同フォーラムは、準天頂衛星システムに関し、官民連携による推進と利用促進に向けさまざまな活動を行ってきた日本経団連の成果を紹介するとともに、関係者と幅広く情報交換することを目的に開催されたもの。フォーラム終了後には、額賀福志郎防衛庁長官、櫻田義孝内閣府副大臣も列席して、懇親会が開かれた。

フォーラムの冒頭、開会あいさつをした西岡喬日本経団連副会長は、現行の通信放送衛星が仰角45度であるのに対し、仰角70度以上のほぼ天頂に衛星を配置し、高い建物や山などによる影響を受けずに、高度な測位や通信・放送サービスを可能にする準天頂衛星システムの有益性を述べた上で、同取り組みについて、「官民が連携して進めてきた重要プロジェクトである。是非とも、取り組みを成功させたい」との意向を示した。

講演、パネル討論を展開/利用促進へ活動報告や意見交換

基調講演では、安田明生東京海洋大学教授が、「GNSS(Global Navigation Satellite System)新時代における準天頂衛星の役割と意義について」をテーマに、カーナビや携帯電話など、現在使われているGPSの概要とその近代化、欧州が計画している測位衛星であるガリレオ衛星の概要などについて説明。準天頂衛星への期待を語った。

続いて、4つのテーマ別講演が行われた。まず、「準天頂衛星システム事業化検討状況」と題して、新衛星ビジネスの木村弘社長が、準天頂衛星システムの全体像や経済波及効果、事業モデルや事業化の検討状況等についての説明を行った。「準天頂衛星システムに係わる政府の取り組み状況」については、文部科学省研究開発局宇宙開発利用課の岩瀬公一課長が、衛星測位に関する検討経緯や政府の取り組みを報告。また、「米国GPSに関する米国政策概要」として、米国大使館のWilliam T.Jordan宇宙担当官が、2004年12月に公表した米国の国家宇宙戦略とGPSとの関係について説明した。さらに、「準天頂衛星システムの歴史的・戦略的意義」と題して、筑波大学大学院人文社会科学研究科の鈴木一人助教授が講演。ポスト冷戦期や日本の宇宙開発史、国際戦略とそれぞれにおける準天頂衛星システムの意義、また、新たな時代における準天頂衛星の役割について語った。

その後の特別講演では、「宇宙の利用と産業拡大への期待」について、茂木敏充衆議院議員が講演。宇宙開発の利用は、安全保障や経済発展に貢献する重要な分野であり、国として戦略的に進めるべきであると指摘。その上で、次代のフロンティア産業として、民による積極的な取り組みへの期待を表明した。

最後に行われたパネルディスカッションでは、東京大学の柴崎亮介教授がコーディネーターを務め、衛星測位システム協議会の西口浩事務局長、グーグルの村上憲郎代表取締役社長、セコム・IS研究所の増田美智雄副所長、北海道旅客鉄道の柿沼博彦取締役副社長がパネリストとなり、準天頂衛星システムが提供する衛星測位情報などの利用について意見を交換した。

【環境・技術本部宇宙担当】
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