日本経団連タイムス No.2794 (2005年12月13日)

小坂文科相と懇談/第3期科学技術基本計画策定で意見交換

−科学技術の戦略的重点化、投資目標総額明示など強調


日本経団連(奥田碩会長)は11月30日、東京・大手町の経団連会館において、小坂憲次文部科学大臣との懇談会を開催した。同懇談会は、第3期科学技術基本計画の策定に向けた議論が大詰めを迎える中、今年5月に引き続いて開催したもの。日本経団連からは、庄山悦彦・副会長・産業技術委員長、渡文明・評議員会副議長、谷口一郎・評議員会副議長、高原慶一朗・新産業・新事業委員会共同委員長、秋元勇巳・資源・エネルギー対策委員長、佐々木元・ヨーロッパ地域委員会共同委員長、山本一元・環境安全委員会共同委員長らが、文部科学省からは小坂大臣のほか、河本三郎副大臣、吉野正芳大臣政務官らが出席した。

冒頭あいさつで庄山副会長は、「資源の乏しいわが国が、諸外国との競争に打ち勝つためには、第3期基本計画において諸外国を上回る投資を行うとともに、投資目標総額をきちんと明示することが大事」と指摘した。

これに対して小坂文科相は、「知的資源、イノベーションにつながる技術を育てる必要がある。基礎的な投資をしなければ広がっていない場合もあり、数値目標を掲げた上で努力することが必要」と述べた。

自由懇談に先立ち、丸山剛司科学技術・学術政策局長から第3期科学技術基本計画の策定に向けた文科省の重点分野等についての説明があった。日本経団連からは、笠見昭信・産業技術委員会科学技術政策部会長が、第3期科学技術基本計画においては、(1)科学技術の戦略的重点化 (2)イノベーション創出に向けた科学技術システム改革 (3)政府研究開発投資の拡充〜対GDP比率1%の実現と投資目標総額の明示――の3点が重要であることを改めて強調した。

自由懇談では、日本経団連側から「投資目標を示さないと、日本は科学技術創造立国をあきらめたと海外に誤解される。国として、やりぬく姿勢が必要」「高度なソフトウェア人材の育成にも取り組むべき」「宇宙の予算は、米国に比して、実質20倍の差がある。宇宙利用システムにも取り組むべき」「環境問題への対応にあたっては、個人の意識改革が大切である。社会や自然との共生について教育していくことが重要」「エネルギー、とりわけ原子力に関する研究に取り組むべき」「基礎研究で終わりというのではなく、応用も視野に入れた研究にも、きちんと取り組むべき」などの意見が出された。
こうした指摘に対して小坂文科相は「科学技術創造立国を実現する上でも、第3期基本計画期間中の投資に対する配慮が必要。今日の意見交換を起爆剤として、産学官連携基盤の育成も含め、努力する」との意向を示した。

【環境・技術本部開発担当】
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