日本経団連タイムス No.2795 (2006年1月1日)

ジャアファリー・イラク首相と意見交換

−ジャアファリー首相が日本の支援に謝意、復興の推進へ意欲


日本経団連の渡文明中東・北アフリカ地域委員長は12月6日、都内でイラクのジャアファリー首相と面談し、イラクの民主化プロセスを含むイラク復興の現状と将来の展望、日本との関係などについて意見交換した。

はじめに渡委員長が、日本の経済界のメッセージとして、「イラクの治安が一日も早く安定し、経済も復興して日本企業が協力できる日が来ることを願っている」と発言。日本企業は1980年代半ばまでイラクのインフラ整備などにかかわっていたことから、過去の実績を活かしながら資源開発など新しい分野で協力する用意があることを強調した。

これに対して、ジャアファリー首相はこれまでの日本の対イラク支援に謝意を表すとともに、「イラクは苦しいときに日本が協力してくれたことを忘れない」と発言。今後は、円借款の再開やイラクの対日債務の減免などの支援の継続に期待感を示した。
首相はまた、政治、治安、経済の各方面で復興を進めることに強い意欲を示し、(1)現在、イラクの治安情勢は予断を許さないが、治安が安定すれば外国からの投資を呼び込める (2)日本とイラクの経済関係が発展することを切望しており、今後の両国関係は、日本からの投資が拡大する中でより一層強固になる――とした。また、イラクは日本企業が世界経済で果たす役割を高く評価しており、「日本企業の海外での事業活動の経験は世界に誇るべきものである。イラクにおける日本人や日本製品の品質に対する印象は非常に良く、強力な2国間関係を構築したい。日本企業は欧米で活躍しており、同様の活動をイラクで展開することに期待する」と述べた。具体的には、特に石油分野への投資を重視していくと強調した。

渡委員長は、「治安が回復していく段階でも研修生の受け入れや教育・訓練などは協力可能であろう」と発言。日本の経済界は、両国が戦略的な相互補完関係を構築していく必要性を認識しているとした。

【国際協力本部中南米・中東・アフリカ担当】
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