日本経団連タイムス No.2796 (2006年1月12日)

高度情報通信人材育成で産学官連携会議

−相互理解深め具体化促進


日本経団連、内閣官房IT担当室および情報処理学会は12月20日、東京・大手町の経団連会館で、「高度情報通信人材の育成に関する産学官連携会議」を開催した。政府や企業のITの中核業務を担う高度IT人材は現在、質・量両面で不足しており、これら人材の育成が急務となっていることから、同会議では、高度IT人材の育成について産学官で相互理解を深め、その具体化を図ることを目的に開催されたもの。
会議の冒頭、主催者側として、松田岩夫IT担当大臣や日本経団連の張富士夫副会長、情報処理学会の安西祐一郎会長があいさつした。

松田大臣は、「行政改革や医療改革など、日本のさらなる前進のためには、ITをもっとフルに活用することが不可欠であり、それを支える高度IT人材の育成は最も重要な課題」との考えを示したほか、張副会長は、「高度情報通信人材の育成は、今後のIT化や産業競争力、国家の発展をも左右する重要課題であり、具体的な取り組みを早急に進めるべきである」と強調。安西会長は、「学会においても、情報通信人材の現状を危惧し、具体的方策を検討しているが、産学官が危機感を持って連携して取り組まなければ対応できない」と語った。

拠点大学院設置を提起

その後、日本経団連情報通信委員会の棚橋康郎情報化部会長が、日本経団連が2005年6月にまとめた提言「産学官連携による高度な情報通信人材の育成強化に向けて」05年6月30日既報)について紹介し、高度情報通信人材育成の具体策として、産学官連携による世界レベルのIT実践教育を行う拠点大学院の設置を提起した。さらに、日本経団連から、拠点大学院に求められる教育体制や教育内容、企業としての支援内容など、拠点大学院設置に向けた具体的な提案を行った。
海外における先進的な事例では、韓国ICU(情報通信大学校)の許雲那総長から、海外との連携やインターンシップの活用等を通じて、社会ニーズに適った世界トップレベルのICT教育を行う同校の取り組みについて紹介があった。

産学官有識者がパネル討議

最後に、産学官の有識者によるパネルディスカッションが行われた。パネリストからは、拠点大学院の設置と運営に当たって、大学側の意識改革が不可欠であり、企業としても、教員派遣をはじめ、積極的かつ継続的な協力が必要である、といった意見が示された。
日本経団連では、同会議を受け、今後も大学側との交渉を進め、拠点大学院の具体化につなげていくこととしている。

【産業本部情報通信担当】
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