日本経団連タイムス No.2797 (2006年1月19日)

「今後の男女雇用機会均等対策について」

−労政審が厚生労働大臣に建議


厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会は12月27日、同分科会報告『今後の男女雇用機会均等対策について』を取りまとめた。同報告書は同日、労働政策審議会の取りまとめとして厚生労働大臣に建議された。建議の趣旨を踏まえて厚生労働省は、通常国会に男女雇用機会均等法の改正法案を提出する予定。
男女雇用機会均等法施行から20年経ち、女性労働者をめぐる雇用環境も変化しつつあることから、厚生労働省の意向により、同分科会は2004年9月から、均等法改正を視野に入れた今後の男女雇用機会均等対策について検討してきた。今回の建議はその結果をまとめたもの。建議のポイントは次のとおり。

(1)男女双方に対する差別の禁止

女性に対する差別の禁止規定を男女双方に対する差別の禁止規定とする。

(2)差別的取り扱いの禁止の追加

性別による差別的取り扱いの禁止の対象に、降格、雇用形態または職種の変更、退職勧奨および雇止めを追加する。

(3)限定列挙による間接差別概念の導入

間接差別の概念を限定列挙する形で均等法に盛り込む。
間接差別とは、外見上は性中立的な基準等であっても、実際には一方の性の構成員に相当程度の不利益を与える基準等であって、職務との関連性等合理性・正当性が認められない場合を指す。今回、「募集・採用における身長・体重・体力要件」「コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用における全国転勤要件」「昇進における転勤経験要件」の3項目を限定列挙する。
なお、各要件について、職務との関連性等合理性・正当性が認められない場合に間接差別となるものであり、合理性・正当性が認められるのであれば、その要件は問題となるものではない。

(4)妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止

解雇以外の不利益取り扱いも禁止する。

(5)ポジティブ・アクションの効果的推進方策

ポジティブ・アクションは企業の自主的な取り組みという枠組みは変えず、ポジティブ・アクションを行う企業がその取り組み状況を外部に開示する際に、国が支援できるようにする。

(6)セクシュアルハラスメント対策

男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とする。

(7)男女雇用機会均等の実効性の確保

セクシュアルハラスメントおよび母性健康管理措置についても調停の対象および企業名公表制度の対象とする。

(8)女性の坑内労働規制の緩和

女性技術者が坑内の管理・監督業務等に従事することができるよう、妊産婦が行う坑内業務および一部の業務(作業員)を除き、規制緩和を行う。

日本経団連は、人事労務管理委員会(安西邦夫委員長)および同委員会の下に設置した労務管理問題検討部会(坂田甲一部会長)で本件の対応について検討し、日本経団連推薦の使用者側委員を通して、日本経団連の意見を主張してきた。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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