日本経団連タイムス No.2798 (2006年1月26日)

中馬行政改革担当相と懇談/行政改革推進委員会

−行政改革推進法案(仮称)をめぐり意見交換/中馬大臣、政府の取り組み示す


日本経団連の行政改革推進委員会(出井伸之委員長、大久保尚武共同委員長)は16日、都内のホテルで中馬弘毅行政改革担当大臣を招いて会合を開催した。
日本経団連からは両委員長のほか、宮原賢次副会長、米倉弘昌副会長、草刈隆郎副会長、櫻井孝頴評議員会副議長ら約60名が出席。「行政改革の重要方針」(2005年12月24日閣議決定)と「行政改革推進法案(仮称)」の策定に向けた政府の取り組みについて中馬大臣が講演した後、意見交換を行った。

講演の冒頭、中馬大臣は、明治維新と戦後の民主化に続く、第3の大きな改革が小泉構造改革であると言明。過去に自身が関与した地方分権推進法の成立の経験から、総理の強力なリーダーシップに加え、主要ポストに人材が揃ったときには、次の時代の出発点となる改革が一気に進むと述べた。
行政改革の重要方針を閣議決定した経緯については、年末までに総合的な行政改革の方針を閣議決定してほしいとの小泉総理の指示によるものであることを披露。その上で、小泉政権後も、今回閣議決定した重要方針の着実な実行を図るため、同方針に掲げられた政策金融改革、独立行政法人等の見直し、総人件費改革などの重点項目を中心に構成される「行政改革推進法案(仮称)」を本年3月を目途に国会へ提出し、会期中の成立を図りたいとの決意を示した。
法案の理念については、(1)日本の競争力を向上させることにより、豊かで環境のよい社会生活を享受することを国民は求めており、行政はそれを実現する手段であること (2)個人、地方公共団体、企業が政府に頼らず自立していくことが日本の社会を強くしていくための基本であること――などの趣旨を盛り込んでいきたいとの意欲を滲ませた。その上で、法案の中核を構成する個別の課題について詳細に説明を行った。

その後の懇談で、出井委員長は、わが国は少子・高齢化による人口減少という時代の転換点を迎えていると指摘。あらゆる分野で生産性を上げていかないと経済が縮小均衡に陥るとの警戒感を述べた。その上で、21世紀型の社会では、国と地方の行政コストを明らかにし、国、都道府県、市町村といった三層構造を持つ現行の統治体制の多重性を見直し、行政全体のコストを削減していくための取り組みが重要であることを求めた。
また、草刈副会長は、今回の推進法案の位置づけについて、基本法としての性格を強く打ち出すかどうかについて確認したいと発言。櫻井副議長からは、わが国最大の第3次産業である政府サービスの質と生産性の向上が急務であるとの指摘があった。

これに対し、中馬大臣は、行政改革に関する基本法は必要であると思うが、今回は基本法という立場はとらないと明言。その理由として、(1)基本法の策定には根本的な議論が不可欠であり、憲法を含めた議論の中で位置付けていく必要があること (2)基本法策定の議論をしていると改革が2年から3年遅れてしまうこと――などを挙げた。その上で、当面の改革を推進していくことの重要性を訴え、タイムスケジュールを示して改革を進める今回の推進法案の策定について、経済界としても是非理解してほしいと締めくくった。

【産業本部行革担当】
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