日本経団連タイムス No.2799 (2006年2月2日)

カッラ・インドネシア副大統領と懇談

−日本経団連、新投資法成立の重要性指摘/EPAの早期締結を要望


日本経団連(奥田碩会長)は1月24日、都内で、インドネシアのユスフ・カッラ副大統領との朝食懇談会を開催した。懇談会には、インドネシア側からカッラ副大統領をはじめ、ブディオノ経済担当調整大臣、マリ商業大臣らの経済関係閣僚に加え、インドネシア商工会議所(KADIN)関係者が、日本経団連側からは、奥田会長、森下洋一評議員会議長、三木繁光副会長、宮原賢次副会長、勝俣恒久副会長、岡村正副会長・日本・インドネシア経済委員長らが出席。双方あわせ25名が参加した。

懇談において奥田会長は、日本からインドネシアへの新規投資が停滞傾向にある中、その改善に向けたインドネシアの投資環境整備に強い期待を表明した。また、カッラ副大統領が2005年11月の就任以来、ユドヨノ大統領とともに、投資環境の改善に向けた各種の改革に精力的に取り組んでいることに歓迎の意を表するとともに、05年7月に政府間交渉が開始しされた経済連携協定(EPA)が、06年中に実質合意に至るよう、カッラ副大統領の強いリーダーシップの発揮を期待すると述べた。

日本の協力に期待感を表明/カッラ副大統領

これを受け、カッラ副大統領は、インドネシアが津波や地域紛争、石油価格高騰などの困難な事態に直面したにもかかわらず、05年は5.5%の経済成長を達成したと成果を報告した上で、インドネシア経済が引き続き成長していくためには、日本の協力が不可欠であると期待感を表明した。次いで、汚職の撲滅や税制改正、労働問題の改善、行政手続きの迅速化など、現在重点的に取り組んでいる施策について説明した。また、両国間の経済関係については、EPAの早期締結とともに、05年6月、両国の官民合同投資フォーラムで取りまとめられた「戦略的投資行動計画(SIPA)」の実行に向け、取り組んでいく決意を示した。

意見交換においては、日本経団連側から、「インドネシアをめぐる困難な状況があったにもかかわらず、投資環境改善に向けた経済運営を心強く感じている」「ASEAN各国と日本とのEPAが進捗する中、ASEANの大国であるインドネシアとのEPAが他国とのEPAに遅れることのないよう、早期にEPAを締結してほしい」「税制改正や労働法改正と併せて、新投資法を早期に成立させることが重要」――などの意見が出されるとともに、カッラ副大統領のさらなるリーダーシップ発揮への期待などが示された。

一方、インドネシア側からは、マリ商業大臣が、「EPAについては、第3回交渉が2月9〜14日にかけて実施される予定である。交渉の加速化に向け、両国の官民が緊密な連携を取ることが重要」と発言。また、ルトフィ投資調整庁長官は、「新投資法は未だ国会で成立していないが、インフラを整備するとともに、行政手続きの簡素化等を通じて企業誘致に努めたい」と決意を示した。

【国際協力本部経済連携担当】
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