日本経団連タイムス No.2799 (2006年2月2日)

自然保護プロジェクト視察ミッション/日本経団連自然保護協議会

−ボルネオ島の2活動サイトに派遣


日本経団連自然保護協議会は、公益信託日本経団連自然保護基金の支援先プロジェクトを視察するため、昨年11月26日〜12月3日に大久保尚武自然保護協議会会長を団長とするミッション(前田又兵衞副会長を含め総員13名)を派遣、マレーシア・サラワク州、インドネシア・東カリマンタン州の活動サイトを視察訪問した。

現地政府などとの交流図る

同協議会では毎年、現地の活動状況を視察するとともに、現地政府やNGOとの交流を図ることを目的とするミッションを派遣している。
今回最初の訪問先である、マレーシア・サラワク州では日本マレーシア協会が行っている「サラワク州における熱帯林再生プロジェクト」の活動サイトを視察した。現場はサラワク州都クチンから車で約2時間の距離にあるアペン保護区にある。サラワク州は63%を熱帯雨林が占め、800種を超える植物や2万種を超える動物が生息するなど生物多様性の宝庫となっている。しかし近年、伐採や森林火災による環境悪化が危惧されている。日本マレーシア協会では10年前からサラワク州森林局に協力して2740ヘクタールの植林計画をたて、複合林の試験的導入や植林の技術指導などを進めている。
現地では地元住民、森林局の関係者から大歓迎を受け、ジョセフ・ジャワ森林局次長からは「既に300ヘクタールもの植林を支援していただいていることで、住民の間にも熱帯林の保全と再生の意識が生まれている」とのあいさつがあった。
その後、参加者による記念植樹、住民との交流会が行われた。辺りはアブラ椰子のプランテーションが広がる一帯であり、改めて熱帯雨林再生の重要性が認識されている。夕刻、ホテルにおいて、ハジ・ハムデン・アハマド・サラワク州観光・青年担当副大臣や、サラワク州森林局の幹部、在コタキナバル日本総領事館小西力哉副領事、日本人会会員企業などが出席して懇親会が行われた。アハマド副大臣からは「日本経団連およびマレーシア協会の援助で植林活動が進んでいる。今後とも友好関係を続けていきたい」とのあいさつがあった。

次に訪れた、インドネシアのクタイ国立公園では、鈴木晃博士(元京都大学霊長類研究所所属)が代表を務める日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会の「東カリマンタン州のオランウータン保護・調査プロジェクト」のサイトを訪問した。鈴木博士はクタイ国立公園周辺での調査・研究活動を20年にわたり続けている世界的なオランウータン研究者である。今回の視察では、調査基地(キャンプ・カカップ)を訪問し、国立公園内での現地住民との協力関係や、森林の維持・管理に関する課題などの状況を確認した。この地域も隣接地に世界最大級の石炭露天掘り事業場が迫っており、開発と自然保護の狭間での活動である。

最後にジャカルタでは、インドネシア政府のカッラ副大統領、カバン林業大臣、ウイットゥラール環境担当大臣らを表敬訪問。日本の経済界が取り組んでいる自然保護活動の紹介や、インドネシアの国立公園での生活と環境の衝突、不法な森林伐採、実業界との協力などに関して話しあった。

今回の視察ルート

11月26日
成田発→クアラルンプール→クチン着、泊
11月27日
「日本マレーシア協会・活動サイト視察」「サラワク州アハマド副大臣らとの懇談」、クチン泊
11月28日
クチン発→クアラルンプール→ジャカルタ→バリックパパン着、泊
11月29日
バリックパパン発→タンジュンバラ着、「日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会・活動サイト視察」、センガタ泊
11月30日
「KPC社石炭露天掘り事業所見学」、センガタ発→バリックパパン→ジャカルタ着、泊
12月1日
「現地政府、日本大使館等表敬訪問」「オランウータン保護対策について報告会」「政府関係者、インドネシア日本人会、NGO等との懇談」、ジャカルタ泊
12月2日
ジャカルタ発→ボゴール着、「日本環境教育フォーラム活動報告会」「ボゴール植物園見学等」
12月3日
ジャカルタ発→成田着
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