日本経団連タイムス No.2800 (2006年2月9日)

日本経団連・日中環境植林セミナーを開催

−日中環境植林プロジェクト/「第1期」の成果など報告


日本経団連は1月25日、東京・大手町の経団連会館で、日本経団連・日中環境植林セミナーを開催した。同セミナーは2001年から05年末まで実施された重慶市長寿区における第1期日本経団連日中環境植林プロジェクトの意義と成果を報告するとともに、今春から実施予定の第2期プロジェクトの概要を説明するもの。日中両国の関係者や、所要資金への拠金などによってプロジェクトを支援している企業の担当者らが出席した。

今春から実施予定「第2期」の概要説明

冒頭あいさつに立った三村明夫・日本経団連副会長・中国委員長は、1998年の今井敬経団連会長と江沢民中国国家主席との会談を契機としてスタートした重慶市長寿区における「日本経団連日中環境植林プロジェクト」の第1期が、昨年末に成功裡に終了したことについて、関係者に対し感謝の意を表明。その上で、世界的に地球温暖化・自然環境保護への関心が高まっている中、21世紀の日中協力の1つとして長江沿岸の生態環境の保護と洪水防止に努めるとともに、地元との共生を両立させる「モデル植林事業」をめざす同プロジェクトが、温家宝国務院総理はじめ、中国政府、重慶市政府、地元住民から高い評価を得ていることを喜ばしく思うと述べた。
また三村副会長は、日本経団連が中国側の強い要請に基づいて第2期プロジェクトを準備していることに触れ、06年から08年の3年計画として、第1期と同じく重慶市長寿区で実施すること、今春にもスタートさせるべく中国委員会植林協力部会を中心に現在準備を進めていることなどを説明した。

続いて中国駐日大使館の程永華公使が、「中国における環境植林協力の必要性」と題し、来賓あいさつを行った。この中で程公使は、日中の植林協力が中国の国家建設に大変重要であることや、日中両国国民の親近感の向上に役立っていることを強調。中国の植林に関わる状況について、(1)中国は今年から「第11次5カ年計画」を開始しようとしているが、継続する高成長の一方、環境問題や水の問題などさまざまな課題に直面しており、これらの課題解決に向けた外国からの協力を歓迎している。植林協力もその1つである、(2)中国政府は林業を重視しており、これまでの一連の措置で全国の森林被覆は18.2%に向上した。しかし、世界的にはまだ低い数字であり、中国がめざす「小康社会」(全体的にゆとりのある社会)の要求にも合致していない――と説明した。
その上で程公使は、日本経団連の植林プロジェクトに感謝の意を表明するとともに、中華全国青年連合会の各部門と地方政府が一丸となって協力した同プロジェクトが、98年の長江大洪水の発生原因地域である重慶市における洪水防止と緑化に大いに貢献したと評価。第2期プロジェクトでは第1期プロジェクトの経験を活かし、一層大きな成功を収めることを期待すると述べた。

続いてセミナーは第1期日本経団連日中環境植林プロジェクトの報告に移り、現地で植林活動に携わった藤原豊太郎・日本経団連中国委員会植林協力部会実務グループ前事務局長(元王子製紙環境植林専門員)、曹長河・中国青年国際人材交流中心副主任、余江平・重慶市長寿区林業局局長の3氏が、プロジェクトの実状や意義、成果などを語った。
その後、日本企業の中国における環境植林協力の取り組み事例として、イオン名誉会長相談役・イオン環境財団理事長の岡田卓也氏、トヨタ自動車バイオ・緑化事業部長の尾暮敏範氏がそれぞれ活動内容を紹介した。

セミナーの最後に、第2期日本経団連日中環境植林プロジェクトの概要について、関澤秀哲・日本経団連中国委員会植林協力部会長、丸山泰弘・同委員会植林協力部会実務グループ事務局長から、(1)今年春頃から3年間かけ、長江沿岸の畑や傾斜地434.7ヘクタールに、ポプラ、桑、桐などを植え、第1期プロジェクトの実施分570ヘクタールと合わせて約1000ヘクタールの「モデル植林」を実現する計画であること、(2)所要資金については3年間で1億円を見込んでおり、現在、日本経団連会員企業に資金協力を要請していること――などの説明があった。

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【国際協力本部アジア担当】
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