日本経団連タイムス No.2802 (2006年2月23日)

社内広報センターが05年全国社内報実態調査結果を発表

−活字社内報と電子メディアの使い分け進む/情報共有化へグループ報が増加


日本経団連社内広報センターは16日、「2005年全国社内報実態調査」<PDF>の結果を発表した。それによると、社内報における電子メディアの活用が伸びていることや、活字社内報と電子メディアとのミックス化が進んでいること、企業グループ全体での情報共有ツールとしてグループ報の発行が盛んであることなどが明らかになった。
この調査は数年ごとに全国的規模で実施しているもので、今回は2005年8月から10月にかけて実施。前回調査(2000年)後の状況を把握するために、社内報の発行状況や、形式、発行サイクル、経費、重視する記事のほか、社内コミュニケーション手段の活用状況など社内報活動全般にわたって調査した。調査対象は社内広報センター会員をはじめとする企業3000社で、回答のあった企業は706社(有効回答数は601社)。調査結果の概要は次のとおり。

■企業ガバナンスの変化とグループ報の増加

回答企業のうち、社内報を発行している企業は601社と約85%を占めているほか、グループ報を発行している企業が135社(前回調査53社)と増えている。企業グループ全体を見渡し、1つに束ねてとらえる視点へと企業ガバナンスの流れが近年、変わりつつある中、グループ報を発行し企業グループ全体での情報共有を図ろうとの変化が表れている。

■定着するメディアミックス化

社内報を発行するサイクルは月刊が最も多く(32.9%)、次いで季刊(21.5%)、隔月刊(15.3%)の順となっている。月刊、隔月刊ともに前回調査(2000年)比では減少傾向(月刊4.5ポイント減、隔月刊3.6ポイント減)、季刊は微増傾向(同0.7ポイント増)で、発行間隔が広がりつつある。社内で共有すべき情報量は増加しており、かつスピードも要求されている中で、活字社内報のほかに活用するツールとして、イントラネット(76.2%)や電子メール(53.6%)などの電子メディアを挙げる企業が増えており、着実にメディアミックス化が進展しつつある。

記事は経営理念などを重視/編集支援の体制構築が課題に

■記事は経営理念・経営方針などの経営情報、職場の相互理解を重視

重視度の高い記事は、第1位「経営理念・経営方針・事業計画、事業内容」(86.5%)、第2位「職場の相互理解」(71.7%)、「製品情報(サービス)・技術・品質管理」(47.1%)で、これらは近年、調査のたびに上位のポジションを占めている。
上位5位までの経年変化をみると、「経営理念・経営方針・事業計画、会社の事業内容」「職場の相互理解」は毎回1位、2位とそれぞれ不動のポジションを占めているが、1996年調査(前々回)まで第3位であった「家庭・趣味・娯楽」が今回、大きくポイントを下げている。
また、今回調査で「企業文化の重視」をあげた企業が96年調査に比べ13.0ポイント増の29.5%と大幅に増えている。

■ますます進むビジュアル化重視の傾向

型式は雑誌型(83.4%)、新聞型(11.0%)で、雑誌型が主流となっており、2000年調査とほぼ変わらない。サイズは近年、A4判の伸びが著しく2000年調査に比べ10.6ポイント増の62.6%である。以下、B5判24.6%、その他8.3%と続く。サイズの大型化は写真やイラスト、グラフ、見出しなどを大きく扱うことができ、ビジュアル誌面をつくりやすい。
一方、印刷の種類をみると、表紙は「4色刷り」が59.4%(前回調査比8.3ポイント増)、本文は「単色刷り」が37.8%(同16.9ポイント減)、「4色刷り」17.3%(同13.8ポイント増)、「多色刷りとの混合」17.0%(同3.4ポイント増)、「2色刷り」21.1%(同0.1ポイント減)となっており、表紙、本文ともにカラー化が進んでいる。

■組織的なサポート体制に課題

編集委員会制度が「ある」企業は43.4%(2000年調査比1.9ポイント減)、「ない」企業は54.9%(同0.8ポイント増)であった。特に1万人以上の大企業で「ない」との回答が71.4%と高い。一方、通信員制度が「ある」企業は35.3%(同4.4ポイント減)で、従業員数3000人以上の企業の5割近くが「ある」と回答している。「ない」企業は62.0%で従業員数が少ない企業に多い。企業規模が大きくなればなるほど、編集委員会や通信員制度を通じた情報収集の必要性は増すわけで、情報収集の効率化にもつながる編集支援の体制を構築していくことが大切である。

■個人情報保護法と社内報〜社内でのルールづくりが必要〜

05年4月から個人情報保護法が全面施行され、社内報にもその影響が表れている。個人情報に触れると考えられる事項を社内報に掲載する場合、「個人情報掲載の事前承諾」を得ると回答した企業が29.0%、個人情報と考えられる事項の「掲載内容の変更」を行った企業が19.8%あった。
さらに社内報には個人情報が掲載されていることを明記し「取扱注意を喚起」した企業は12.5%、特集を組み、「個人情報とは何かの解説記事を掲載」した企業は12.3%あった。また、以前から社内報の協力に関しては事前の了解を得ていたため「変化なし」という企業は13.6%であった。結婚、出産など、プライベートな個人情報の掲載ついては、それぞれの企業で取り扱いルールを決め、方針に従って掲載することでトラブルを避ける工夫が必要であろう。

◇ ◇ ◇

同調査結果報告書に関する問い合わせは、日本経団連社内広報センター(電話03―5204―1931)まで。

【出版・研修事業本部社内広報センター】
Copyright © Nippon Keidanren