日本経団連タイムス No.2805 (2006年3月16日)

中小企業委員会が会合開く

−中小企業庁担当官から支援政策等の説明聴取


日本経団連の中小企業委員会(指田禎一委員長)は3日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。同委員会は、中小企業の経営革新施策や国の中小企業政策など、中堅・中小企業の発展に向けた諸課題について、さまざまな面から検討を行っている。
この日の会合では「モノ作りの国際競争力を担う中小企業の技術競争力強化について」と題し、中小企業庁の山本雅史企画課長を招き、中小企業支援政策等について説明を聴取した。

山本課長はまず、日本経済は昨今明るい展望が開けており、特に国際競争力を有するモノ作り企業の活躍は目覚ましい状況にあると述べた上で、その根底には地道に事業活動を続け、技術向上に日夜努力している中小企業が数多く存在することを指摘。日本の産業の強みは、製造工程に必要不可欠な鋳造・鍛造・プレス加工・メッキ・切削といったモノ作りの基盤となる「川上」産業(加工サービスや部品の供給等を行う産業の総称。最終製品を製造販売する「川下」産業と対比される)の技術レベルが、高品質・高精度の製品生産を可能としているところにあると説明した。
その上で、経済産業省の「新産業創造戦略2005」の概要、特に、(1)高度部材・基盤産業への施策の重点化、(2)人材・技術等の蓄積・進化、(3)知的資産重視の「経営」の促進――の重点3施策について説明した。
最後に山本課長は、従来型系列関係の希薄化や、技術開発コストの増大、熟練工の高齢化による人材確保・育成の困難化など、モノ作り中小企業が直面する経営課題を指摘した上で、今国会に提出する「中小ものづくり高度化法」(新法)による戦略的支援について、その主な支援の内容((1)中小企業と組立企業の間における情報交換の新たな仕組みや出会いの場の設置、(2)負担の大きい技術開発を共同実施する仕組み作り、(3)高専・大企業OBの活用、技術のデジタル化による人材育成・確保支援))について説明した。

またこの日の会合では、画像処理用電子機器の設計・開発・製造・販売等を行っている株式会社山下電子設計(神奈川県厚木市)の山下靖社長から、2005年9月に関東経済産業局によって新連携計画の認定を受けるに至った同社の取り組みについて説明を聴取した。
認定を受けた事業は、放送局向け映像圧縮・解凍装置の技術を有する同社がコア企業となり、異分野企業(株式会社創業)の有する放送・通信の相互接続・中継技術との連携により、ハイビジョンの映像信号や高精密な画像を圧縮し、インターネット回線を使って配信する装置を開発、NEC通信システムが技術指導・検証・評価を行い、同社と株式会社創業や提携販売会社を通じて販売するというもの。
山下社長は、経済産業省への申請において、関東経済産業局やTAMA協会、とりわけ「新連携支援サブマネージャー」の存在が非常に役に立ったと説明した。

【労働政策本部労政・企画担当】
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