日本経団連タイムス No.2806 (2006年3月23日)

新産業・新事業委員会メンター研究会開く

−高原共同委員長から考え方など聴取


日本経団連新産業・新事業委員会は10日、東京・大手町の経団連会館でメンター研究会(座長=鳴戸道郎新産業・新事業委員会企画部会長)の第2回会合を開催した。今回は、ユニ・チャーム会長として経営にあたる高原慶一朗新産業・新事業委員会共同委員長から、自身の起業を支えた考え方や経営者が持つべき理念を聴取するとともに意見交換を行った。
メンターとは、もともと指導者・相談者を指すが、米国の起業家ネットワークでは、自らの起業経験や発想をもとに後進の起業家を物心両面で支える起業成功者として使われている。同研究会は、日本の新たな起業支援のあり方について米国のメンタリングシステムに着目し、日本の風土にあった形での起業家の精神的支えを築くことをめざし、今年1月に設立した。

次代の起業家に伝えたい経営理念の検討推進へ

会合の中で高原氏は、自身のメンターに両親や恩師、先輩などを挙げ、彼らから学んだ「ナンバーワン主義」や「時に清濁併せ呑むリーダーとしての心構え」が今の自分を精神的に支えていると自身を振り返った。また、吉田松陰の「夢無き者に成功無し」の一節を引用して、夢が成功への第一歩であり、さらに、(1)その夢に向かうやる気(2)携わる分野の選択眼とそこで大成する能力(3)成功をつかむタイミング――の3つが重要であるとの考えを学んだと語った。
特に経営者として大成する能力の半分は、後天的な努力で形成されるものであるとの見方を示した上で、その経営者を形成する、周囲の人間がもたらす影響が大切であるとも指摘。より多くの人の個性に触れることで人間はさらに成長できると述べ、起業家を支えるメンターの必要性に賛意を示した。
また高原氏は、「人を作るのが上の上」という考えのもと、メンタリング活動として社内起業家輩出を促す呼びかけや、起業フォーラムをはじめとする社内外の起業家支援に取り組んでいることを紹介した。今後もそういった場で、自身の人生観や経営者観を伝え続け、最終的には200人の経営者を育てることで、世の中の役に立ちたいと信念を熱く語った。

その後、研究会の今後の活動方針について審議を行い、ヒアリングを通じて起業家のニーズや現在の起業家支援の取り組み方を聴取することで日本型メンター像を定義し、2007年度以降の本格的なメンタリング活動につなげていくことを確認した。
また、委員から、大企業を組織する日本経団連が、メンタリングに取り組むことに対して期待が寄せられたほか、起業の成功例だけでなく失敗例からもメンターの重要性を学べるのではないかといった意見が出された。高原氏からも、「志のある人材がメンターとして日本経団連で活動することは、日本経団連にとっても良い刺激となる」と述べ、同研究会に対する期待を寄せた。

【産業本部産業基盤担当】
Copyright © Nippon Keidanren