日本経団連タイムス No.2807 (2006年3月30日)

最近の金融市場制度改革で金融庁に聞く/金融制度委員会

−投資家保護の横断的法制整備へ、今国会に「金融商品取引法案」上程


日本経団連は20日、東京・大手町の経団連会館で金融制度委員会(勝俣恒久委員長)を開催し、金融庁の三國谷勝範総務企画局長らから、最近の金融市場制度改革や、これに関連して13日に上程された「証券取引法等の一部を改正する法律案(金融商品取引法案)」の概要について説明を受けるとともに、意見交換を行った。

冒頭、三國谷局長から「金融商品取引法案」について、現在の縦割りの規制を改め、投資性の強い金融商品・サービスにすき間なく同等の規制を整備するとともに(規制の横断化)、投資家の種類(プロ・一般)や商品類型等に応じて規制に差異を設ける(柔軟化)との説明があった。また三國谷局長は、情報の開示に関しては、四半期開示の法定化や財務報告に係る内部統制の強化(適正開示に関する経営者の確認等)、公開買付(TOB)制度の見直し、大量保有報告制度の見直しなどに関する規定を整備すると述べた。さらに、取引所の自主規制機能の強化、ディスクロージャーおよび不公正取引に関する罰則の強化等についても同法案で手当てがなされると説明した。

意見交換では、経済法規委員会の八木良樹企業会計部会長が「ASBJ(企業会計基準委員会)で検討されている連結決算の四半期開示のタイミングが45日後となっており、実務上大変厳しいことから、簡素なものとしてもらいたい」と要望。金融庁側からは、「四半期決算に係る会計処理のあり方については、現在、ASBJで検討が進められており、法案成立後にはASBJから基準が示されていくことになると考える。ASBJにおける検討に当たっては、実務面で十分対応可能なものとなるよう関係者において十分な検討が行われることを期待したい」との回答があった。

金融制度委員会の島崎憲明資本市場部会長からは、証券取引等監視委員会の組織強化に関する今後の議論の方向性について質問があり、三國谷局長は「昨年7月より新たに企業開示課を設け、18年度から証券取引等監視委員会も5課体制として体制強化を図るなど、市場監視体制の強化を図っているところである。こうした点については今後さらに検討されることになる」と答えた。同じく島崎部会長から「金融審議会で議論した際には、他省庁が所管する法律についても1つにまとめた方がよいとの意見もあったが、その点をどう考えるか」との質問があり、三國谷局長は「この法案の作成は、法令のすき間を無くす、金融商品による販売・勧誘ルールの差異を可能な限り無くすとの観点から進めてきた。他省庁所管の法律についても利用者保護に係わる規制は、現時点で可能な限り金融商品取引法案と同様の規制を盛り込んでいる」との回答があった。

その他、出席者から「内部統制についての報告と経営者による確認については四半期報告でも有価証券報告書と同等の水準のものを開示しなければならないのか」との質問があり、金融庁側からは「財務諸表の適正性に関する経営者による確認は四半期開示でも必要であり、有価証券報告書の確認と同等の物が必要である。内部統制についての報告は有価証券報告書と併せて年1回行えばよい」との回答があった。

【経済本部経済政策担当】
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