日本経団連タイムス No.2809 (2006年4月13日)

日本経団連自然保護基金06年度支援プロジェクト決定

−63件、総額1億6000万円/アフリカ諸国からの申請増加


公益信託日本経団連自然保護基金(KNCF)は、3月17日に行った同基金運営委員会において、2006年度の自然保護プロジェクト支援先を決定した。今年度は、申請のあった119件のプロジェクトのうち、最終的には、国内16件、海外47件のプロジェクトを対象に、総額1億6000万円の支援を行うこととなった。

KNCFは92年の設立以来、アジア・太平洋地域を中心にNGOにより行われている自然保護プロジェクトを支援しており、また01年度からは国内の活動にも支援対象を広げた。これまでの14年間で累計676件、約19億8000万円の支援を行っている。

地域別件数ではアジアが419件(62%)と最も多く、国別にみるとインドネシア、中国、フィリピン、タイの順となっている。この地域はもともと、熱帯雨林やマングローブ林など生物多様性の豊かな地域をたくさん抱えているが、経済発展に伴い開発が進み、そのため各地で絶滅危惧種の保護や森林の保全活動などがさまざまな形で行われている。
次いで太平洋地区はパプアニューギニア、ソロモン諸島はじめ累計45件(6.7%)、アフリカ30件、南米27件となっている。
一方、国内では6年間で87件の支援が行われており、ニホンヤマネやツシマヤマネコなどの希少動物の保護のほか、環境教育、里山保全などさまざまな活動を支援している。

今年度の特徴は、昨年11月にウガンダで行われたラムサール条約締約国会議にKNCFのブースを設け、活動内容をPRしたこともあり、ウガンダやカメルーンなどアフリカ諸国から従来よりも多くの申請が出された。また、視察ミッションで訪れたインドネシアからも多くの申請が出されている。
内容的にはオランウータンやカメ、水鳥など希少動植物の保護が19件と最も多く、次いでタイやバングラデシュの海水域でのマングローブ植林や、中国での砂漠化防止のための植林などが選ばれた。また、最近の傾向として、地域の貧困対策と組み合わせ、植林、環境教育などを複合的に行われるプロジェクトもみられる。
さらに、英国のズーロジカル・ソサエティ、米国のマウンテン・インスティチュートなど国際的な歴史のある団体のプロジェクトもはじめて選ばれた。
これらの支援プロジェクトの詳細に関しては、KNCFのホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/kncf/)で、5月頃公開する予定である。

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KNCFは、日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)が委託者となり、日本経団連会員企業を中心とする法人や、個人からの寄付で運営しているが、CSRの高まりによる企業の自然・環境保護活動への取り組みや関心の増大のほか、業績の回復等も手伝い、05年度の寄付金は、前年度を上回る見込みとなっている。

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