日本経団連タイムス No.2810 (2006年4月20日)

労働政策審議会労働条件分科会の審議状況について

−労働契約法制・労働時間法制


11日に開催された厚生労働省の第54回労働政策審議会労働条件分科会において、今後の議論を促進することを目的とした「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」が提示された。
この「検討の視点」は、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」および「今後の労働時間法制に関する研究会」の報告書を参考とし、昨年秋からの労働条件分科会での審議内容も踏まえて主要な論点について再整理したもの。検討の趣旨を述べた後、『労働契約法制』と『労働時間法制』の2項目について、それぞれの論点を挙げている。

『労働契約法制』については、「労使両当事者の契約に対する自覚を促しつつ、労働契約が円滑に継続するための基本的事項を明らかにする」ことを基本的な考え方とし、明確化すべき事項として、(1)就業規則をめぐるルール等(2)重要な労働条件(採用内定・試用・出向・転籍等)に係るルール(3)労働契約の終了の場面(解雇)のルール(4)有期労働契約をめぐるルール――の4つを挙げている。このうち、(1)の就業規則に関する部分では、過半数組合との合意により労働条件変更の合理性推定効を認めるか、過半数組合がない事業場に「労使委員会」の設置を促進するべきか、「労使委員会」の決議にどのような法的効果を認めるかなど、多くの重要な論点があり、労使の激しい議論が予想される。また、(3)の解雇については、使用者側が導入を主張している「解雇の金銭的解決」の論点も入っており、前向きな検討が期待される。

『労働時間法制』については、(1)時間外労働の削減(2)年次有給休暇制度の見直し(3)自律的労働時間制度の創設――がテーマとして挙げられている。(1)では割増率の引き上げ、(2)では時間単位の年次有給休暇取得などが論点とされている。(3)については、このような制度を創設するかどうか、創設する場合の要件(年収の額等)などをめぐり、大きな議論となることが考えられる。

今後については、この「検討の視点」を議論のたたき台として、月2回の頻度で労働条件分科会を開催し、7月の中間答申を経て年末に最終答申、2007年通常国会への法案提出(労働契約法(新法)の制定と労働基準法の改正)をめざすというのが厚生労働省の考えである。
日本経団連としては、労働法規委員会(藤田弘道委員長)において検討を行い、特に「解雇の金銭的解決」「ホワイトカラーエグゼンプション制度」の実現に向けて使用者側意見を主張していくこととしている。

【労働法制本部労働法制担当】
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