日本経団連タイムス No.2812 (2006年5月11日)

カルヴィーティス・ラトヴィア首相来訪

−一層の経済協力関係強化などで意見交換


ラトヴィア共和国のアイガルス・カルヴィーティス首相は4月21日、ヴィタリス・ガヴァリロス・ラトヴィア経営者連盟会長らとともに、日本経団連を表敬訪問した。日本経団連の佐々木元ヨーロッパ地域委員会共同委員長と会談し、日本・ラトヴィアの経済協力関係の一層の強化などについて話し合った。

この中でカルヴィーティス首相は、ラトヴィアの経済情勢について、(1)2004年の実質GDP成長率は10.2%と極めて高い(2)EUに加盟したが、旧ソ連諸国であるロシアやウクライナ、ベラルーシ、モルドヴァ、キルギスなどのコーカサス諸国、ウズベキスタン、カザフスタンとも良好な政治・経済関係を築いている(3)「広く、薄く」の課税原則を徹底し、25%であった法人所得税を現在では15%までに下げている――と説明。その上で、「日本からより多くの投資が行われることを望んでいる」と述べた。

またカヴァリロス会長は、ラトヴィア経営者連盟が経営者と労働者との間に安定的な社会的パートナーシップを構築することを目的としていることを説明。さらにラトヴィアでは、政府、経営者、労働者の代表からなる三者会議を毎月開き、労働市場や教育制度、社会保障制度などについて議論を行っていることを紹介した。

佐々木共同委員長が、04年に日本経団連のミッションでラトヴィアを訪れた際に、不凍港であるリーガ港の優位性を生かす政策を打ち出し、交通インフラを整備していると説明を受けたことに触れ、「その後、陸上運輸の整備状況はどうなっているか」と質問したのに対しカルヴィーティス首相は、「陸上運輸は主に旧ソ連諸国との間で整備がなされている。サンクトペテルスブルク、モスクワ、ベラルーシ、キエフとは直接結ばれている」と回答。さらに、(1)カザフスタンとウズベキスタンはリーガ港を輸出拠点としている(2)リーガ―サンクトペテルスブルク間の550キロ、リーガ―モスクワ間の900キロは大型トラックでの輸送が行われている(3)リーガ港はヴェンツピルス港とともに自由港として経済特区になっており、特別減税や付加価値税免除などの措置がとられている(4)ロシア諸都市やベルリンなどとも地上運送網が繋がっているのに加え、北欧諸国とも連絡が良い(5)旧ソ連の鉄道と互換性を持っている(6)ラトヴィアとロシアとを結ぶ高速道路をEUの基金で建設している――と述べた。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
Copyright © Nippon Keidanren