日本経団連タイムス No.2816 (2006年6月8日)

民主党と政策を語る会開催

−政府・与党と建設的な政策論議の展開求める


日本経団連は5月22日、東京・大手町の経団連会館で民主党と政策を語る会を開催した。民主党からは、小沢一郎代表、鳩山由紀夫幹事長、直嶋正行政策調査会長代理、峰崎直樹ネクスト財務大臣、仙谷由人ネクスト厚生労働大臣、前田武志財務局長が出席。日本経団連からは、奥田碩会長(現名誉会長)、御手洗冨士夫副会長(現会長)、宮原賢次副会長、出井伸之副会長、勝俣恒久副会長、岡村正副会長、平島治評議員会副議長、西室泰三評議員会副議長(現評議員会議長)ら約290名が参加した。

開会あいさつで奥田会長は、地球規模の競争激化や人口減少社会、超高齢社会の到来といった環境変化に適切に対応することが強く求められていること、取り組むべき課題は山積しているが、改革はいまだ道半ばであることを指摘。改革を加速するためには、政策本位の政党政治の実現が必要であり、民主党幹部には、今日の議論を踏まえ、国会の場で、政府・与党と建設的な政策論議を展開してほしいと述べた。

続いて民主党の小沢代表が、同党の政策と取り組みについて講演を行った。この中で小沢代表は、自身が実現をめざしているのは、議会制民主主義、政党政治の定着であると述べ、議会制民主主義実現のためには、基本的哲学や理念を持ち、政権を担い得る政党が2つ以上存在し、その時々の状況に応じ国民の要請に応えて政権を担っていくことが必要であるとの考えを示した。また小沢代表は、日本が本当に変わるためには、国の制度・仕組みを抜本的に見直す必要があり、日本経団連の求める官僚的規制社会の見直しも、中央集権的な日本の統治機構が変わらなければ実現しないと述べた。
次いで鳩山幹事長は、政治資金規正法改正について触れ、日本企業が海外で活躍すれば外国人持株比率が上がるのは当然で、そうした優良企業が政治寄付を行うことを制限するのは不合理と指摘。政治寄付に関して、日本企業が実施しやすくなるよう努力したいと述べた。
民主党の具体的政策内容については直嶋政調会長代理が説明。歳入・歳出一体改革の中で2010年代初頭には基礎的財政収支を均衡させる、諸々の悪影響をもたらす官僚天下り是正などのため公務員制度を改革する、問題の多い特別会計をできるだけ一般会計化する、社会保障についてはまず年金制度を安定させる、市場化テスト法案成立に努める、多様なエネルギー供給を考える観点から原子力活用を推進する、地球温暖化対策税創設を考えるなどと述べた。

行政改革などで意見交換

会合は続いて意見交換に移り、まず日本経団連の出井副会長が行政改革について意見を述べた。この中で出井副会長は、日本の競争力をどうやって向上させるかという観点から、硬直的な行政システムや官に関与する生産性の低いサービス業を見直していくことが必要であることを強調。公務員制度の抜本的改革推進や、中央省庁改革の再評価、国・地方の役割分担、道州制も含めた地方行政単位の再検討といった課題を提起した。
地球温暖化問題とエネルギー政策については、勝俣副会長が発言。温暖化問題解決には国際競争力に影響を及ぼす税や規制でなく、自主的な省エネ努力や技術開発、国民運動など民間活力を最大限に活用して対応すべきこと、エネルギー安定供給の確保に向けた戦略的な資源・エネルギー外交をこれまでにも増して展開すべきことを訴えた。
また、宮原副会長はWTO新ラウンド交渉終結やEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)締結の重要性を改めて指摘するとともに、それにともなう外国人受け入れ体制の整備や農業構造改革といった課題への対応についての民主党の考え方を問うた。

日本経団連側の発言を受けて小沢代表は、「個別の事業補助金は一括して自主財源として地方自治体が自由に使えるようにする」などと応じた。環境税について峰崎ネクスト財務大臣は、「地球温暖化対策上のアナウンスメント効果を持つ」とし、その必要性を指摘した。

このあと行われた自由懇談では、社会保障改革、容器包装リサイクル法案への対応などが議論になった。社会保障改革について峰崎ネクスト財務大臣は、「民主党として潜在的国民負担の目標値を明確にはしていないが、50%以下という日本経団連の主張には概ね異論がないと考える」と発言。さらに容器包装リサイクル法案に対しては、国会の場では民主党議員が反対する場面もあるものの「これは議論の過程の中での対応であり、今国会での成立には党として賛成している」旨の説明がなされた。

最後に御手洗副会長が閉会あいさつを行い、世界経済変化のスピードがますます速まる中で、企業活動の最新の情報を踏まえて政策を立案することは極めて重要であると述べた。

【社会第二本部政治担当】
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